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「夏の出来事 5」
【若奥さん 官能小説】

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高校時代-1

2人は、次に水曜日の夜に会う約束をした。

 火曜日。
タクミは10時までバイトだ。

ちづるは早めに夕飯を済ませ、お風呂に入った。
9:00
ソファーの上でミルクティーを飲んでテレビを見る。

「、 、 、 、、 、 。」

飲み終ると寝室へ向かう。
寝室のタンスの一番上の段をあける。
ハンカチが並んでいる。
一番奥から、黄色の花柄の入った、小さなタオルを取り出す。

「実は、 、 
まだ持ってたりするんだよね 、 、」

タクミ君に言ったら、また引くよね 。

 、 、 これは、黙っとこ  。

タオルを鼻に持っていき、すうっと匂いを嗅ぐ。

「、 、って、もう匂う訳 ないか。」

   先生の匂い、 、 。 

あれは何の香りだったんだろう。

 香水 ? より優しくて、 、
 
シャンプー 、 、?
でも、少し甘い香りも混じってて、 、 、 。

  高校時代を、思い出す。

病院には、1年近く通った。
高校に入学して、すぐに偏頭痛が出てしまった。
入学して友達は少しづつ出来たが、女子特有の派閥作りにちづるの心はいつも不安定だった。 
気がつかないうちに、心が、いつも萎縮していた。
 
 そんな時に、あの女医と出会った。

その女医は、ちづるのプライベートな話も聞いては、共感してくれた。
もちろんそれは、カウンセリングも兼ねた治療だと分かっていたが、それでも嬉しかった。

『好きな男の子とかはー? いる?』

『16才って、本当、色々あるよねー。
大人のが気持ち的には楽チンだよぉ。
 私も昔さぁ、、、』

 先生の話し方が、好きだった。
頭が良くて人に優しくて、かっこいい。

 でも、少しぬけてる所もあった。

ある日、待ち合い室にいると、大きな声で看護婦にこう言っていた。

『あーーー、 財布、忘れた!
お昼代かして!
ごめーん!!』

『〜 〜 』

『〜 あはは、無理っ! 
ご飯たべなきゃ、午後の診察できなーいっ!』

 待ち合い室に響く先生の声。

治療を終えて、支払いを待ってる患者達は気まずそうに下をむいて、笑うのを堪えていた。

ちづるも同じように堪えた。

ある診察の日。

治療中に、先生は看護婦に呼ばれた。

「ちょっと待ってね。」

と、言われてちづるは1人で治療室で待っていた。
ふと、診察用のベッドを見ると、先生のタオルが置いてある。

、 、 今日は黄色だ 、 、 

ちづるは立ち上がり先生が、まだこっちに来そうにないのを確認して、タオルを持つ。

「、 、 、 、、 、 。」

 先生の タオル 、 、 

すると、バタバタと足音が聞こえてきた。
急ぎ足で先生が戻ってくる。

「、、っ、! 、」

ちづるは慌ててそのタオルをポケットに入れて、イスに座り直す。

「お待たせー! ごめんね ?」

「ぁ、、いえ、、」

「 ? どうしたの?」

「、、なんでも ないです。」

「 そーぉ?
 、あ、でね、さっきの続き。
常盤さんは、多分、真面目すぎちゃんうんだよ。 
あ、それはもちろん、良い事だよ?

 、 、 でも、常に皆の事を考えて動いて、結果的に気持ちが萎縮してきちゃったら、、。

それは、 、 

やり方が違った、って事だと思う。」

「、 、 、 はい、 。」

 先生はふふっと笑う。

「『はい。』って、言っても常盤さんはまた明日には、真面目に皆の事を一番に、考えちゃうんだろーなー ? 

 あ、今、その映像が浮かんだー。」

「、 、 、 。」

先生はそういうと、ちづるのほっぺを撫でる。

「、、、いつも言ってるでしょー?

 無理しないで ね ? 」

「、っ、 、 はい、 。」 

「きっとすぐに人との、距離感って言うのかな。 
 掴めてくるよ。」

撫でられる度にいつも、先生に甘えたい衝動にかられる。
甘えたい気持ちと同時に、いつも良い香りがしてきて、一瞬だけ目眩がする。


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