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秘密は21号室で
【同性愛♀ 官能小説】

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母からの電話-3


電話の向こうで母は笑った。
不思議なことだったが、小学生の時、たしかにそんなことがあった。
弘美もつられて笑った。
泣きたいのと可笑しいのとで、自分が泣いているのか笑っているのか分からなかった。

母が優しく尋ねた。

「弘美は身体の方は大丈夫なの?」

弘美は反射的に下腹に手を当てた。
苦しいほど張っていた。
大丈夫なわけがなかった。
しかし、またしても弘美の口から出てきた言葉は嘘だった。

「う、うん。大丈夫よ」

「風邪なんかひいてないの?」

「ひいてないよ」

「そう、それはよかったわ。それじゃ、また近所でなにかあったら電話するね」

「うん。わかった」

「それじゃ、またね」

電話は切れた。

窓の外に目をやると、陽はとっぷりと暮れ、光のない田舎の夜が始まっていた。
弘美は現実に引き戻された。
ベッドに横になると、話し終わったばかりなのにもう母が恋しくなった。

「お母さん…」

枕に顔をうずめてつぶやいた。



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