投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『graduation』
【青春 恋愛小説】

『graduation』の最初へ 『graduation』 33 『graduation』 35 『graduation』の最後へ

『graduation番外編〜彼女が嫌いな彼女〜』-4

「今はどう思うんですか?」

「今は......そうだなぁ。人にお裾分けしたいくらい幸せなんだろうな、って思えるようになったかな。」

ホントだろうか。

結局、それ以上反発するのも賢くないと思って、話を変える事にした。

「センパイ。センパイは4年生ですよね。誰と仲良いんですか?」

とりあえず無難な話題。

「未来とか里美とか佐伯かなぁ...」

女に興味はない。

「佐伯先輩、頭イイですよね〜」

「学者志望だからね。」

雪見先輩の手は全く止まることなく、私に背を向けたままだ。

「そう言えば、浅野会長とも仲良いんですか?」

さっきの香子の話を思い出して尋ねてみると

「あぁ、セフレだから。」

なんてことを言い出した。

思わず固まる。いきなりカミングアウト!?

あたしが言葉を失っていると、雪見先輩はそのままの姿勢でクスッっと笑った。

「う・そ」

からかわれた。

やっぱコイツ食わせ者だ。

悔しくて話をとりあえず先に進めた。次は何故か後輩に一番人気の先輩。

「都築先輩は―――」

雪見先輩の手が止まったのを、あたしは見逃さなかった。

だって、それを待っていたから。

誰にでも弱点があるってことを教えてくれたのは、やっぱり姉だったっけ。

「彼女とか、いないんですかねぇ。憧れなんですっあたし。」

ゆっくりと雪見先輩が振り向いた。

正面からきちんと見た先輩はやっぱり綺麗だ。

溜息が出るほど。

「好きなの?都築が?」

真っ直ぐに、目を見据えてくる。

フイと逸らさずにはいられない。

「やだなぁセンパイ。憧れですよ〜アコガレ。」

そう言ってパシンと雪見先輩の肩を叩いてみた。

先輩は「ふぅん」と言うと、また荷造りを始めた。


『graduation』の最初へ 『graduation』 33 『graduation』 35 『graduation』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前