14's CHOCOLATE-2
彼は短い階段の下で友達と話していた。階段には何人か座って話している人がぃるが、アタシが彼を呼んでも振り返る人はいない。自分のコトで必死みたいだ。
「何?」
「ぁ…ぁのね、ぁの…ぁー、んー」
やっぱ緊張するわ。次の言葉が出てこない。絞りだすようにやっと
「コレ、あげる」
と、小さく言えた。
…言った。言ったぞーッッ!!アタシ成長したぞーッッ!!
しかぁーし。
「何コレー?…ゴミィ??」
――どぉぉぉっっん!!!!
核爆弾だわ!!核爆弾が今落ちたわ!!つぅか、ゴミってか?!アタシの愛情たっぷりの甘ーぃチョコレィトをゴミってか?!
心の中で激しくツッコむ自分に気付き、かなり精神が安定しました。あざーっす!!
「って、違うから。バレンタインのチョコだょ。いっつもお世話なってっからそのお礼ぇー!」
ニコっと笑う。
こんな→(*´∪`*)♪
だがしかぁーしッ!!
「お礼なんていいよ。大したコトしてねぇし…コレ返す!!」
ぇえっ、返却!?返却ですか!?アタシの気持ちはUターンですか??予想外の展開に頭の中は大パニック!!
こんな→((;゜Д゜))
危うく受け取りかけた腕をやっとこさ引っ込めた。
「かっ、返さなくていい!!アタシがあげたいのっ。まず、まずそうだったら捨ててもいいから。でも…貰うだけ貰えッッ!!」
アタシは気付くとダッシュしていた。そう、逃げた。えぇ、逃げた。逃げましたよっ!!フン。つぅか、『貰え』って…命令かょ…。けど、アタシの目標は達成!!むちゃくちゃだけど胸がスゥっと軽くなる。満足した気持ちで日菜の所へ戻って行った。
―次の日―
昨日はよく寝た。朝鏡を見ると涎の跡…気にしないくらい最高の目覚め。ぁぁ〜ん、素敵な朝日。学校に行くのはちょっとドキドキするけど、それもまた新鮮!!髪の毛気合い入れようかな…なんちて。
下駄箱に着くと見慣れた横顔。胃の辺りがきゅぅとくすぐったくて口元が緩む。その横顔がアタシに気付いてアタシに向けられる。
「よぉ」
「はよぉ」
何だ、何だこの沈黙間?!気まずい??この妙なピリピリした空気…居づらいぞ。アタシはそそくさと靴を履き替え彼の前を通り過ぎた。アタシが左に曲がろうとした時、「あんさぁ…」と呼び止められ止まった。アタシはちょっと振り替えって「ん??」と聞き返す。
「あの、俺食ったから。ちゃんと…うまかった。俺チョコ好きだし!」
彼の目は真直ぐアタシを見てた。フワフワする。アタシは最強のスマイルをした。いや、させられた…。
「そっかぁ。なら良かった!!じゃぁ、教室でね」
そう言うとアタシは教室に向かって歩きだした。本当は走りだしたくて、飛び出したくてしょうがなかったけど、一人でこの心地いい感覚を味わいたくて、ゆっくり歩いた。
チョコレートみたいに甘くて、チョコレートみたいに少しほろ苦くて、チョコレートみたいにとろけそうな感覚。…子供からちょっとだけ抜け出したかもぉ…。
アタシたちがお互いを成長させる相手になるってコトは…もう少し後になってから。