過去の中 2-1
作文の授業の後からすぐ、ちづるは男子達にからかわれた。
後ろから、わざとちづるに届くように声が聞こえてくる。
(マジ、ウケたんだけどー!)
(普通さ、気がつくよね。)
(ってかさー、あいつの足、見た?
超震えてたの)
(見た見た、こんな感じじゃね?)
(ウケる!それコントじゃん!)
(もしや、ちづるのちって、鼻血のち?)
(うーん、山田くん座布団持ってって!)
ちづるは使い終わったティッシュを握りしめ、小さく震え机の一点を見つめていた。
しかしまだ、追い打ちをかける事があった。
(ちょっと、やめなよ!常盤さん、可哀想、、、)
仲良しの女の子の声だ。
(えー?お前も笑ってたじゃん)
(笑ってないよ)
(いーや、笑ってた! 血が、ズルっと出て笑っちゃったっしょ?)
(ふっ、っ!!、ちょっと!やめなよぉ!)
(ほら、笑ってんじゃん)
ちづるは学校では1度も泣かなかった。
家に帰って、ベッドの中で泣いた。
次の日。
ちづるは学校を休んでしまおうか、ギリギリまで悩んでいた。
しかし真面目な性格なゆえ、ずる休みをする事は出来なかった。
昨日の事、今日は誰も言いませんように 、 、。
みんな、鼻血の事、忘れてますように、 、。
そう願いながら教室に入った。
うつむき、気配を消しながら自分の席に座ろうとする。
すると、昨日からかった男子達が黒板とちづるを交互に見て、笑っている。
ちづるは、黒板を見た。
顔が、真っ青になる。
日直の名前を書く場所。
男の子の名前の隣にこう書いてあった。
「常盤 鼻ちズル」
(えー、、。只今、硬直しております、はい。)
(ってか、これ考えたの、誰?うまくない?)
(俺 俺 )
(やばーい、マジ、、これは座布団2枚っ)
脚が震えて動けない。
心臓の音が徐々に早くなる。
悪夢の中にいるようだった。
そこに、ちづるの仲良しの女の子が登校してきた。
すぐに黒板に気がつく。
「なにこれ!ひどい!
常盤さん、平気? ちょっと!
やめなさいよ、男子!
これ書いたの、誰!? ねぇ、誰なの!?」
その女の子の大きな声で、クラスの注目が集まる。
ザワザワ ザワザワ し始める。
、 、 、 、
、 、 なんで、そんな 大きい声で
言うの ?
(いや、お前昨日、笑ってたから)
(笑ってないって言ってるでしょ!?)
(いや、ズル の所で笑ってたって)
(、っ、!もうっ、本当、やめなさいよ!)
(、、、目が笑ってるし)
クスクス笑い声が聞こえる。
クラス全員笑っていた訳ではないが、ちづるには、全員笑っているように聞こえた。
なんで、 みんな 笑うの ?
なんで 笑うの ?
、 、 なんで、 笑うの?
「常盤さん、気にしなくていいよ、、 ね? あたし、書きなおしてあげるから。
え、あ、、泣いてる、?
ちょっと!常盤さん、泣いちゃったじゃん!!書いた人、本当、誰なの!?
謝りなよ!」
みんな きらい、 、
みんな、 、だいきらい、 、
だいっきらい 、 、