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『正夢』
【青春 恋愛小説】

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正夢〜鹿見護の一日〜-1

古ぼけた建物、差し込む光の中で女の子が片膝をついている。
何をしているんだろう…。
光に包まれた女の子の後ろ姿はとても荘厳で、だがとても薄弱に見えた。

女の子が立ったかと思うと、こちらに向かって振り返る。そして、視線が交錯した。


あんたは…誰だ…?


女の子の体が…いや、俺の視界が溢れる光で見えなくなっていく。

そこで俺の意識は覚醒した。



♪〜♪♪〜……



携帯から流れる音楽を止め、俺は目を覚ました。
とりあえず時間を確認する…早く起きすぎたかな。まだ学校に行くには十分な余裕があった。

「なんだったんだ…」

さっき見た夢を思い出そうとしたが、何一つ思い出すことが出来なかった。

「とりあえず学校行くか…」

制服に着替え、いつもより一時間以上も早く学校へと向かった。なんでかな、早く学校に行かなくちゃって、この時俺は思っていたんだ。
駅に着いて、電車に乗る。まだ始発から二、三本しか経っていないためか、中には参考書を読んでいる学生と、サラリーマンくらいしかいなかった。
まだ入学してそんなに経ってはいないけど、それなりに学校には慣れた。でも、なんだか今日だけは初めて学校に行ったときのような、不思議な感覚を俺の体をめぐっていた。



学校に着いて、教室に入る。朝練をしている運動部のために校舎は開けてあったけど、やっぱりまだ普通の生徒は来ていなかった。
時計に目を合わせた時にふとあることを思い出した。

この一年棟の校舎のすぐ横には森があるのだが、この前なぜか草木が分かれている獣道を見付けた。
学校の地図には『旧教会』と書かれていたが、行ったことはない。
俺の足は、自然と旧教会に向かっていた。



獣道を歩くこと数分…森が急に開けたかと思うと、俺の目の前には古ぼけた教会が現れた。
大きさはそれほどでもなく、新しく造られた新教会の三分の一も及ばないだろう(それでも十分にでかい)。

新教会は十年ほど前に造られたらしく、卒業生同士の結婚式で使われることもあるらしい。


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