檻からの解放-13
「二人とも、遠足の途中で皆とはぐれたそうだね。何があった?」
珍しく絵茉は一馬の顔をじっと見つめていたが、彼女は口を開く気はないようだった。
「僕と絵茉はこれから警察に行きます。」
「何を言っているんだ秀慈?警察に行って何をする気なんだ?」
一馬の顔色が一瞬でこわばった。
「父さんは罪を償わなければならない。」
「罪って、父さんが何をしたと言うんだ!」
「父さんは絵茉の家族を殺した。」
「何を言っているんだ!父さんが人殺しなんてするはずないだろう?!」
一馬は秀慈に怒鳴りつける。
「父親を人殺し呼ばわりして、お前は何がしたいんだ?!絵茉、早くこっちに来なさい。秀慈に何を吹き込まれたのか知らないが、それは真実ではない。さあ!」
一馬は絵茉に手を差し出すが、彼女は秀慈の腕をぎゅっと掴んで首を振った。その姿を見た一馬は一気に逆上し始める。強引に絵茉の腕を掴んで、家の中に引き上げようとする。
「触らないで!人殺し!!」
絵茉が一馬に向かって叫ぶと、一馬は一瞬でひるんでしまった。