消された記憶-9
すると、再び絵茉が声を上げる。
「あっ!この場所!!」
そこはさびれたサービスエリアだった。
「さっきのお店で母は結局何も買えなかったので、遊園地の食べ物は高いし、ここで何かご飯でも買おうかってなったんです。それで今度はみんなで車から出ました。でもすでにこのお店はやっていなくて、私たちの他に車は停まっていませんでした。だから、もう潰れちゃったのかしらって言う話をして・・・違う。違います!!!」
「絵茉、何か思い出したのかい?」
東条と秀慈は絵茉の話を息をのんで聞き続けた。
「あの時、もう一台車が停まっていた。黒い大きな車・・・。私たちが車の中に戻ろうとした時、物凄い勢いで車が近づいてきて、―――私、その車の中に引きずり込まれた!!そしてそのまま車がどこかに発進して・・・。すごいスピードで走って・・・私の乗った車が崖の頂上を下り始めた時、後ろから凄く大きな音が聞こえて・・・」
絵茉は泣き出してしまい、その後は何も言えなくなってしまった。