監視-1
絵茉が一馬の寝室で過ごすように言われた日、秀慈は屋敷に帰ってこなかったようだった。屋敷を出て行ったきり、夜になっても戻って来なかった。
いつもの家政婦は暇を出され、春花と秀慈はこの屋敷から消え去り、遂に絵茉は一馬と二人きりになってしまった。
一馬はしばらく仕事は家ですると言い、書斎でパソコンで何やらチェックしたり電話を頻繁にかけていたが、いつも傍に絵茉を居させた。
絵茉を片時も離さないというように、勉強するときや本を読むときは彼の書斎で行わせた。
息が詰まる・・・絵茉はそう思っても逃げ出すこともできずに、いつものように一馬に従った。食事は一馬の秘書がどこかのレストランのものを購入して、運んできたようだった。それから台所の清掃も少ししたようだった。
彼の秘書は絵茉に目もくれず、まるでロボットの様に黙々と仕事をこなしていた。一馬とこれからのスケジュールについて話し合い、彼女はさっさと屋敷を去っていった。
しかし絵茉はこの秘書の顔をどこかで見たことがあるような気がした。この家に以前にも来たことがあっただろうか・・・?そう考えても絵茉は思い出すことが出来なかった。