崩落-8
秀慈の頭の中で何かが閃く音がした。
――もしかして、絵茉が心を閉ざしてしまったのは父のせいではないか?夜な夜な絵茉にあんなことをさせるなんて・・・。だから絵茉は無表情になってしまったに違いない。絵茉は父に逆らう事なんて出来ない。もし父を拒んだら路頭に迷い込んでしまう。彼女の弱みに付け込んで、無理やり関係を迫っているんだ!!
秀慈から理想の父親像がガラガラと音を立てて崩れ始めた。
家族を亡くして辛い思いをしている絵茉から笑顔まで奪って、自分は悠々と暮らしているなんて・・・。なんてむごい仕打ちだ!必ず父親の悪事を暴いてやる。
秀慈はそう心に決めて、その場から駆け出した。