呪縛の始まり-2
次に彼女が目を覚ました時には、彼女は一人病院の一室に横たわっていた。
絵茉は奇跡的に軽傷で助かったのだった。記憶もしっかりと残っていたので、家族はどこにいるのか医師や看護師に尋ねた。
しかし彼女を待ち受けていたのは両親・弟は即死だったという、残酷な現実だった。
それから彼女は児童施設に送られた。彼女の親戚は、“多額の借金で心中した生き残りの子”を引き取ることを拒み、絵茉は一人きりになってしまった。
絵茉は施設で暮らすようになってから、ほとんど誰とも口を聞かなかった。施設職員は、今はショックが大きいだろうから、無理に周りに溶け込もうとしなくていいのだよ、と彼女を優しく諭した。しかし彼女が施設に移って数か月後、絵茉を引き取りたいという男が現れた。
それが雨宮一馬だった。