誘拐された椿-5
さて、そろそろ笹原椿の身に降りかかる悲惨な運命に筆を進めなければなるまい。
別宅の地下蔵に連れ込まれた椿は、気を失ったまま手足を縛られている。
その格好は何とも恥ずかしいもので、両手は後ろ手に縛られ、後ろの柱から伸びる縄によって両脚を大きく開き、高く持ち上げられた形で吊られていた。
つまり、柔肉に大きく食い入んだ股布を、おりものを吸い込んで白い染みのこびりついたふんどしを晒しものにされているのである。
灯された蝋燭の明かりの中、浪人たちはその椿の股座をしげしげと見つめながら酒をあおっている。
「この女、早く目を覚まさぬかのう」
「すっかり待ちくたびれたわ」
「お主ら、さっきおやつはくれてやっただろう? もそっと辛抱せい!」
中央で胡座をかく山鹿弦斎が、他の浪人をたしなめた。
ここで弦斎の言う『おやつ』とは食べ物のことではない。
ずばり、椿の御満子の味見をさせてやったのである。
四半刻ほど前、椿を縛り上げて意識を取り戻すまで待とうという弦斎に対し、いきり立つ股間の逸物を抑えられない何人かが異を唱えた。
そこで弦斎は椿の御満子の検分と味見をすることだけは許した。
もちろん浪人たちは喜んで飛びついた。
くぱあぁぁ…っ。
ふんどしをずらされ、遂にさらされた乙女の花園。
男たちの節くれだった指が、花弁を荒々しく広げて中身をさらけ出す。
広がり切って横に伸びた薄桃色の肉庭。その上方で皮をかむったままの肉豆や、小便をたれる小さな穴までもが露わになり、淫らな穴ぼこが顔を出した。
その奥から、薄い肉の膜が飛び出している。処女膜である。
これが女。女そのものだ。
「おおおおおお…っ!」
浪人たちは思わず叫び声を上げた。
「弦斎殿! こやつ…生娘です!」
「ふふふ…。そうか。女剣客殿は剣術の稽古に明け暮れて、男との他流試合はおろそかだったか! ワシがたっぷり稽古をつけてやらねばな」
「うほっ!!」
じゅぷっ。べちょっ。べちょっ。じゅるるるる…っ
先を争うように椿の御満子を舐め回す浪人たち。
「ううむ…。美味い。生娘の肉汁の味…たまらぬ!!」
「おい、早く代われ! 次は拙者だ!!」
「あああん…。むふうう…っ」
「この女、すっかり感じておるぞ!!」
色っぽい喘ぎ声を上げる椿。意識はなくても身体は感じているのだ。
誰にも見せたことない大事な部分を広げられ、さんざんに舐められ、摘まれ、ほじられて、椿は意識のないまま何度も果てた。
乙女の花園に隠された花弁も、肉の芽も、乙女の証も、本人の知らぬ間にけがらわしい唾液や指で既に嬲りものにされてしまったのだ。
「う、ううう…」
四半刻の後、椿がようやく目覚めた。
まだ意識が朦朧としてはっきりせず、ゆっくり首を振る。
「…はっ?!」
見れば己の身体は縛られており、まったく自由がきかない。
袴は脱がされ、着物も裾をまくられて胸元をはだけられ、両脚を吊られて開かされているではないか。
浪人たちがニヤニヤ笑いで自分の股間を見つめているのに気づくと、椿の顔はみるみるうちに朱に染まった。
「ここは何処だ!! この縄を解いて今すぐ私を離せ!! さもないと…」
「さもないと…何だと言うのだ? 女剣士殿」
「くっくっく…。そのような恥さらしな格好で強がるのはよせ」
山鹿弦斎は睨みつける椿を嘲笑った。
「いいか、よく聞け。お前がどんなに足掻こうと叫ぼうと、この屋敷を生きて出ることは叶わぬ! しかし、お前にはまだ二つの道が残されておる」
「何だとっ?!」
「お前があの隠密と繋がりがあるのはわかっておる。わしら一味の仕事をどこまで掴んでいるのか正直に話せ。さすれば、ここにある阿片とわしらの肉刀で、お前を思い切り泣き狂わせ、極楽浄土に連れてゆき、夢見心地のうちに死なせてやる。だが喋らぬ時は…」
「…私は、隠密などではないっ!!」
「喋らぬ時には…。お前の身体の裏表…玉門や不浄の穴に至るまで仔細に調べ上げ、恥辱にまみれさせる。その後、女の身に生まれてきたことを泣いて悔やむような責め問いにかけてやる。お前がもうお許しを、殺して下さいと泣いて頼むまで責め苛み、じっくりと嬲り殺してやる。どうじゃ? どちらが良い?」
「ふざけるなっ!!」
椿は思わず叫んでいた。
「私の名は笹原椿、老中・沼田義興が妾腹の娘ぞ!! この無礼者が!! お上はお主らのような悪人をいつまでもほってはおかぬぞ!!」
椿の言葉に弦斎たちはあっけにとられた。
「くすっ。くすくす…。ふふふ…っ。あっはっは!!」
浪人どもは一斉に笑い出した。
「時のご老中、沼田様の娘御だと? 下手な嘘も大概にせよ!! 老中の御息女が男のなりをして歩くものか!! ご丁寧に、股座にふんどしまで締め込みおって…」
「その通り! ふんどしをそれほど食い込ませて気持ちよがる御息女が何処におるか!!」
「いい加減観念なされよ、ふんどし女剣士殿!!」
浪人たちの口々から下卑た罵声が飛ぶ。
「く…っ!! おのれら〜許さんっ!! 離せっ!! 離せ〜っ!! 尋常に勝負せよ!!」
椿はあまりの屈辱に泣きながら絶叫した。
しかし、いくら暴れてもきつく縛り上げられた縄を解くことはかなわない。
どうしても解けないとわかった瞬間、椿は蒼白となった。
哀れにも串刺しにされた忍びの娘の顔と、藤兵衛の声が脳裏をよぎる。
あの時の忠告を素直に聞き入れておけばよかったのだ。
今となっては自分の浅はかさを呪うしかない。
(父上…っ!! 親不孝な娘をお許し下さい!!)
咄嗟に椿は舌を噛もうとした。
「おおっと!! そうはさせぬぞ!!」
その気配を見てとった弦斎が稲妻の如く飛び出し、椿の顎をがっちりと掴んだ。
「む"…ぐううっ!!」
顎が外れそうな痛みに顔を歪める椿。