事務所での密行 1-2
バスは会社に向かう。もう帰るだけだ。バスの中、健太郎をチラチラ見てしまう紗英はこのまま会社に帰り健太郎と別れなくてはならない事に寂しさを感じてしまう。紗英は思わずスマホを取り健太郎にラインを送る。
『帰り、ご飯食べて行かない??』
健太郎がラインに気づき返事を書いている様子を見ながら期待したり、不安になったりしてた。するとすぐに返事が来た。
『飯よりも、会社でやろうぜ?』
その返事を見てドキッとした。
『今から??』
『ああ。まだ紗英を帰したくない。』
その返事に女として物凄い喜びを感じてしまった。紗英が分かったと返事したのは必然だったのかも知れない。一度帰った振りをしてみんなが帰った後に会社に戻り忍び込もうという事であった。紗英の体は少しずつ疼き始めた。
バスは会社に着き解散した。思いのほかみんなはすぐに帰ってしまい5分も車の中にいると健太郎と紗英以外はもう帰ってしまった。面倒な待ち合わせをする必要がなくなった健太郎は十分に廻りに注意を払いながら紗英を車から降ろし裏口の前に立つ。
2人きりの会社…紗英は緊張する。職場でセックスをする…、いけない事をしてしまう自分に期待しつつも不安になったりしてしまう。
鍵を開け中に入る2人。そして健太郎が鍵を閉めた。この会社には健太郎と自分、2人しかいない。会社の同僚の男との職場でのセックス…。刺激的に感じない訳でもなかった。
「紗英、事務服に着替えて来て?」
「えっ?う、うん…」
「事務所で待ってるよ。」
紗英の頭を撫で更衣室に入った健太郎。恐らく仕事着に着がえるのであろう。紗英も更衣室に入り事務服に着替えた。
「仕事中の格好で事務所で…?」
想像すると興奮してきてしまった。社会人として決して許される行為ではない。社員が毎日必死で働いている職場で性欲を満たすべく会社に忍び込んでいる自分が卑しい人間に思える。しかし、しかしだ。紗英の性は理性を抑えきれない状況にある。普段働く事務所のデスクで、普段着ている事務服姿のまま同僚と不倫するという刺激的な行為に紗英の体は熱く燃えていたのであった。
「この事務服を脱がされて丹野さんにセックスされるんだ…今から…。」
置かれている姿見で自分の姿を見る紗英。鏡に映る自分は客観的に見ると、物凄くいやらしい事務員に見えた。
(これじゃあ男の人をムラムラさせても仕方ないな…。)
自惚れではなく、ただ客観的に見てふとそう思った。
紗英は更衣室を出て事務所のドアノブを握ったのであった。