お風呂で仲直り-21
奈々子の心臓が高鳴る。
―――私、こんなに幸せでいいの・・・?
彼女は幸せの絶頂にいる感覚だった。
しかし彼との夢のような時間も、終わりが近づいてくる。
出勤時間が来てしまったのだ。
奈々子は現実の世界に引き戻される。
葵は駅まで送ると言ってくれ、二人は駅までの道のりを手を繋いで歩く。
「なんだか新婚さんみたいだったね。」
「え?」
「朝起きてさ、朝ごはんのいい匂いで目が覚めるんだ。リビングに行くと、
エプロンをした奈々子さんがいる。おはようって俺に言うんだ。
今日、それを体験できて楽しかった。」
「ほんと?私も・・・朝起きて葵君が隣で眠っているの見たら、幸せな気分だったよ。」
自宅から最寄りの駅まで徒歩15分、あっという間に別れの時間がやって来た。
「じゃあ仕事頑張ってね。」
「ありがとう。葵君も勉強頑張ってね。」
じゃあまた連絡すると、彼らは別れた。