初デート-18
沈んだ気持ちでなんとか一日勤務をやり遂げ、奈々子は家へと向かった。
するとちょうど駅に、ゆかりと彼女の彼氏の豹介がいた。
「あー!奈々ちゃん。お仕事終わったの?お疲れサマ〜」
「奈々さんじゃん、久しぶり!」
二人はどこかに行った帰りのようだ。
「デートだったの?」
「うん、豹介が駅まで送ってくれたの。奈々ちゃん一緒に帰ろう。」
「じゃあ、また明日な。」
「うん、バイバーイ」
そう言って二人は、駅に人がたくさん集まっていることなどお構いなしに、
別れ際にキスをしだした。
「いいね、若いって。」
「どうしたの?奈々ちゃん。」
「私、人前でキスしたことなんてない。」
「え?そうなの?でも関係なくない?」
「―――あるでしょ。だってみんな見てるんだよ?」
「私は豹介が好き。」
「・・・うん、知ってる。」
「だから二人でいる時は、二人の世界なの。それじゃダメ?」
「いや、ダメって訳じゃ・・・。」
「じゃあ、いいじゃん。誰にも迷惑かけてないんだし。」
「まあ・・・言われてみればそうだね。」
「でしょ、でしょ?」
ゆかりはいつもストレートに会話をする。
そんな彼女が眩しかった。