サミュエルの秘密-2
しばらく馬を進めると、森の出口へたどり着くと、小さな王国が目の前に広がった。
王国と言ってももう廃墟と化したそこは、薄暗い雰囲気を醸し出していた。
小さなお城が見える。
この王国は、滅びて随分経っているのだろう。
王国を囲っている石は崩れ、何かの残骸がそこらじゅうに散らばっている。
「ここだ、ここが奴らのアジトだ。」
サミュエルはそう言った。
馬を木につなぎ、まずは数人でアジトに向かうことになった。
もしロイクの手下が手荒な真似をしてくれば、
すぐに待機している仲間たちが駆けつけるようになっていた。
サミュエルと、仲間4人、そしてティアラが足を踏み出す。
しかしティアラは恐怖と、緊張から身体が震えてしまう。
するとサミュエルは彼女の肩を抱き寄せ、
「お前は母親を助けたいんだろう?しっかりしろ!」
そう言った。
彼に励まされ、ティアラはいよいよ覚悟を決めた。
「はい。」