それでもあなたに恋をする-14
瑞希は時間を潰して家に帰った・・・・
(美月さんは父の日記を読んでくれたのだろうか・・・・)
その事が気になってリビングを覗いてみた・・・・美月はソファーに座ってボーッとしていた・・・・
「ただいま・・・・」
瑞希がそう声をかけると
「おかえり・・・・」
そこには出かける前の明るい笑顔を浮かべていた美月ではなくて、虚ろな目をした美月がいた・・・・瑞希はその時、美月が父の日記を読んだと確信した・・・・
「瑞希・・・話があるの・・・ちょっといいかな?」
「うん・・・・」
瑞希は美月の前に座った。
「瑞希はいつから知ってたの?」
「去年の暮れにお母さんが一時退院した時に・・・・」
「そう・・・・じゃどうしてその事を私に?」
「僕は小さい頃からずっと好きだった・・・小さい頃はお姉さんとして好きだったのかもしれないけど・・・・今では一人の 女性として愛してる・・・・」
「だったらどうして私にその事を教えるのよ!!私だって瑞希の事を愛しているのに・・・・知りたくなかった・・・・瑞希と私が血を分けた母子だなんて・・・・知らなければ私は・・・・私は・・・・」
美月は泣き出した・・・・
「僕だって言うつもりはなかったよ・・・・僕しか知らない事だから・・・・僕一人の心の中にしまっておけば誰にもわからない・・・・そしたらもしかしたら美月さんとなんて考えた事もあったよ・・・・」
「だったらなんで教えたのよ!瑞希と血を分けた母子だなんて・・・・知らなければ・・・・私は瑞希に・・・・瑞希に抱かれたいって思っていたのに・・・・」
「僕も同じ・・・・同じだから黙って美月さんとひとつになれなかった・・・・僕はずっと美月さんだけをオカズにして来た・・・・口に出せないような美月さんを想像した事もある・・・・想像の中でセックスも何回もして来た・・・・でも・・・・美月さんが本当のお母さんだとわかってからは、想像の中の美月さんとセックス出来ないんだよ・・・・自分で好きなように出来るはずなのに・・・・それはきっと僕の心がブレーキをかけていたんだと思うんだ・・・・禁忌の罪を犯さないように・・・・僕は・・・・僕は・・・・もう限界なんだ・・・・今度また嬉しいハプニングが起こってしまうと自分を抑える自信がない・・・・きっと美月さんを襲ってしまう・・・・実の母親を襲ってしまう・・・・そうなる前に・・・・僕は・・・・こうするしか思い浮かばなかったんだ・・・・」
「そっか・・・・私と同じだったんだ・・・・ゴメン・・・・さっきの聞かなかった事にして・・・・」
「えっ?」
「私ずっと考えていた・・・・これからどうすればいいのか・・・・瑞希のお父さんの日記を読んでからずっと・・・・私はもう瑞希と血を分けた母子であるという事実を知らない事には出来ない・・・・でも・・・瑞希と母子だって言われても実感が湧かない・・・・母子だって感情は一緒の時間を母子として過ごしたからこそ実感出来るモノだと思うから・・・・頭で納得出来たとしても心が納得してくれないから・・・・だから瑞希と母子にはなれない・・・・もしかしたら・・・このまま何年も一緒に過ごしたら違って来るかもしれないけど・・・・」
「それは僕も同じだ・・・・」
「かと言って、恋人へとは進めない・・・・実の母親だって知ってしまった以上進む事は出来ないのよ・・・・」
「僕も同じ・・・だから悩んでいたんだ・・・・」
「だったらどうすればいい?すぐに母子になんてなれるわけがない・・・・恋人へと進めるわけがない・・・・かといってなにも知らなかったあの頃に戻る事なんて出来るわけがない・・・・」
「それじゃ・・・・どうすれば・・・・」
「母子になれなくても・・・・恋人に進めなくても・・・・あの頃に戻れなくても・・・・私達は・・・・教師と生徒にはすぐにでもなれる・・・・これからどうすればいいのか・・・・ううん・・・・私達自身がどうしたいのか・・・・その答えが見つかるまで・・・・私達は教師と生徒として暮らしていきましょう・・・・どうかな?」
「うん・・・・それでいいよ・・・・」
こうして二人は合宿生活を送る事になった・・・・そう二人は部活の合宿生活を送っている気分だった・・・・