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【フェチ/マニア 官能小説】

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コレクション-1

 カタカタカタ。
 静かな部屋の中にキーボードを打つ音が響く。

 23時。
 珈琲はやめて、ルイボスティーをすすりながらノートパソコンに向かっている。──と言っても、別に仕事をしているわけではない。
 最近ハマっているSNSの中の日記を書いているだけ。

「よし、できあがり」

 今日あったことを簡潔に書く。
 投稿ボタンを押してしばらくすると、“友達”からの反応が次々に記録されていく。

《今日も遅くまでお疲れ様!》
《新しい記事、待ってたよ》

 様々なコメントが書かれていく。
 一番乗りは、やっぱりあの人だった。

《Cocoちゃん、いつもお疲れ様。Cocoちゃんもがんばっているんだなぁって思うと俺もがんばれる。今日は特に大変だったんだね。何件も依頼が重なるとバタバタしちゃうよね。ゆっくり寝てね、おやすみ》

 “Coco”というのはわたしのハンドルネーム。
 この人は“ハヤト”さん。
 いつもわたしが日記を投稿したり短い“つぶやき”を書いたりすると一番に反応を示してくれる。

 わたしはハヤトさんのSNS上の部屋を訪れた。
 モノクロームにカラー設定されたページ。

 ハヤトさんの日記や“つぶやき”、それからプレイしているゲームの一覧が彼の写真と簡単なプロフィールのまわりに並んでいる。

 ビリヤードをしている細身の男性の写真。
 鼻の頭あたりから切り取られていて顔はよくわからない。

 プロフィールには、29歳独身と書かれていた。

 彼がプレイしている街づくりのゲームを開く。

 このゲームは1日1回目、“友達”の街づくりの“お手伝い”をすることができる。
 花壇にお水をあげたり、建築を手助けしたり、公園のお掃除をしたり……。

 そして、この街の一番の特徴は住民がその人の“友達”だということ。

 “友達”が多い人は住民も多く、“市長”としてプレイしている自分のポイントも高くなっていく。

 ハヤトさんの街にわたしの名前が入っている家が建っていて、わたしの街にもハヤトさんの名前が入っている家が建っている。

 それぞれの家をクリックすると、その家に住んでいる“友達”のプロフィール写真が表示され、親交の深さによって家の大きさや写真のデコレーションが変わる仕組みになっている。

 このゲームはまるで、“友達”をコレクションしているみたいだ──と、わたしはプレイするたびに思った。

 ハヤトさんの街は碁盤の目のようにスッキリとしていてとても見やすい。
 道路の並べ方や木々の飾り方、建物の配置にその人の性格が現れるように思う。


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