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【フェチ/マニア 官能小説】

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コレクション-2

 “お手伝い”を済ませたわたしは、ハヤトさんの日記にコメントを残して自分のページへ戻った。
 メールのマークが点滅している。
 開くとそれは、今し方訪れていたハヤトさんからのメールだった。

《コメントに書き忘れたことがあったんだけど、なんとなくメールで送ることにした。この間Cocoちゃんが日記に書いていた香水、どこのブランドのかわかったよー。扱っているショップが少ないらしくて貴重っぽかったから買っておいたんだけど、Cocoちゃんの家に送ろうか? それとも、会って渡したほうがいいかな。住んでるところ、電車一本ですぐ会えるところだった気がする》

 わたしはルイボスティーを飲み干すと、少し迷ってから返事をした。
 お会いできれば、と。



 ネットで知り合った人と会うのはこれが初めてではない。
 高校生の時に、好きなバンドのライブに一緒に行っていた子たちと知り合ったのも当時流行っていたSNSがキッカケだった。
 そのバンドが好きな人たちが集まるコミュニティーに属していて、積極的に色々な子たちとやり取りをしていたから会うことにためらいはなかった。

 でも、男の人は今回が初めて。
 年上の男の人と話すことなんて、会社以外ではあまりない。

 SNS上では頻繁にやり取りをして親しくなっているとは言え、実際に会うとなると勝手が違ってくる。
 それでも会うことに決めたのは、いくら出しても構わないくらいにその香水が欲しかったから──。

 おぼろげなボトルの形と香りの記憶しかない香水。

 どんなふうに検索してもわからなかったあの香水が手に入る!
 わたしはウキウキした気持ちでハヤトさんからの返事を待った。



 会うことになったのは、やり取りをした次の週の週末。

 六月の曇天に合わせた灰色がかった薄いぶどう色のブラウスを、ふわりと揺れる黒いひざ上丈のフレアスカートにイン。
 胸元あたりまでの髪をカーラーでゆるく巻いて、いつもより濃いめのメイクをした。
 緊張する……。

《今、着いたよ。改札に向かってる》

 ハヤトさんからのメールに、待ってますと返事をしてハンドミラーで前髪の流れを確かめる。

 どんな人なんだろう。
 わたしはどんなふうに思われるかな。イメージと違うって、がっかりされたらどうしよう?

 “Coco”のプロフィール写真は手で口元を隠して目を瞑って撮った写真を使っているので、わたしを知っている人が見たとしてもきっとわたしだとは気づかないんじゃないかというくらいわかりにくいもの。

 スマートフォンが鳴る。
 改札の電子音が立て続けに鳴り、わたしはその音を聞きながらスマートフォンをタップした。

《改札前に立っている、黒いスカートの子がCocoちゃんだよね?》

 すぐに返事をすると、

「待たせてごめんね」


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