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ホントの気持ち
【元彼 官能小説】

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ホントの気持ち-3

「茉莉〜おはよう!昨日はどうしたの?」
「あ、あぁ…何だかトイレで気分悪くなっちゃって、先帰らせてもらっちゃった…。勝手にごめんね?」
「ううん、全然いいよ!でも、男の子達が寂しがってたよ〜『塩谷さんが帰っちゃった〜!』って。モテるわねぇ茉莉さん♪」
「や…やぁね美妃ったら!ほら、授業行こ!」
あの後、ついさっきまた柊司からメールが来ていたけど…読まずに消してしまった。柊司には柊司の生活があるし、何より彼女が居るんだもの。こんな気持ち、伝えちゃいけない…って、悩んだ結果だった。
「…あれ、あそこに居るの関口くんじゃない?」
「…え…?」
そこには、隼人が立っていた。
「柊司…。」
柊司はあたし達を見つけると、何だか複雑な表情をした。何でいるの!?どうしよう、気まずいよ…。思わず下を向いて視線を避けてしまう。
「あ、関口くーん!こっちこっち!」
「ちょっ…!」
思わずやめさせようとしたけど、そんな事したら美妃が不思議に思うかと思って…慌てて手を引っ込めた。
柊司がどんどん歩いてくる。やばいよ、どうしよう!気持ち、伝えないって…決めたのに…。また泣いてしまいそうで、思わずあたしはきびすを返して逃げようとする。
「…茉莉。」
「っな、何…?」
「…逃げるワケ?」
「…え?」
「関口くんの事、まだ好きなんでしょ?」
「…美妃っ…何で知って…!」
「…話聞いてれば誰でも分かる、だそうだ。」
…もう、柊司は目の前にまで来ていた。
「しゅ、柊司!?なっ…え!?」
いっぱいいっぱい過ぎて、多分顔は真っ赤になってる。
「って事で、あたしは邪魔みたいだから退散するね♪ばいばーい!」
「美妃っ!待って!ちょっ…。」
美妃の手をつかもうとしたその時、逆に柊司にいきなり腕をつかまれた。
「…おれらも行くぞ。」
「え…どこに?っていうかあたし授業…。」
「んなのいいじゃん、俺だって大学休んで来てるんだし。それにあんだけ連絡したのに返してこないおまえが悪い。」
「そんなっ…。」
「ほら、乗って。」
こんな会話をしているうちに、着いたのは駐車場。少々強引に助手席に乗せられて、柊司は運転席に乗り込む。
「ねぇ、柊司!さっきの美妃の話は、ちが…」
「茉莉。」
運転席に乗り込むなり、いきなり真顔で名前を呼ばれて。緊張とか動揺とか嬉しさが全部混じり合って…赤い顔のまま、あたしは何も言えなくなってしまった。
うつむいてしまったあたしのあごに、柊司の手がのびてきて…くっ、と、持ち上げた。
「泣くなよ、バカ」
その瞬間、柊司に唇を奪われていた。…やさしいやさしい、ついばむようなキス。付き合っていた頃の事を少し思い出して…また、泣きそうになった。
ちゅっ、と唇を離して、柊司はあたしをぎゅっと抱き締める。
「…柊司…ダメだよ。彼女いるんでしょ…。こういうことしたら、ダメだよ…。」
そう言って無理矢理離れようとするあたしを、柊司はもっときつく抱き締めた。
「…っ…柊司…っ」
「ごめん、嘘ついた。」
「え…?」
「俺…彼女なんて出来てないし、好きな人だっていない。ずっと茉莉の事だけ考えてた。」
「嘘…!別れた時、好きな人出来たって言ってたじゃない!」
「あれは、…ごめん。実は…知ってるか分からないけど、昴のやつが…あの時、茉莉の事、好きだったんだよ。それたまたま聞いてさ、俺、自信無くなっちゃって。だって茉莉学校だとそっけないし、そのくせ昴とはよく喋ってるし、すっげぇ笑ってるし。茉莉は俺なんかより、昴と付き合ったほうが…幸せなんじゃないかって、フラレるの恐くて…。だから俺から、嘘ついて…ああいう方法しか思い付かなくて…。…茉莉、本当に、…今までごめん。」
「そんな…。」
色んな事が頭をぐるぐる回ってて、よく分からない。何も言えずに、あたしはうつむいてしまった。
「でもさ、この前の同窓会の時、茉莉が泣いてんの見て…俺最初は何でかわかんなかったんだけど、林が色々教えてくれたんだ。なんか、あいつは茉莉と昴をくっつければ、俺の事忘れられるんじゃないかって思ったらしいんだけど…見てられないから、って。今でも茉莉は俺の事好きだから、迎えに行ってやれって。…あいつ凄いよな、俺の気持ちまでお見通しなんてさ。」
美妃…美妃がそんなにあたしの事考えてくれてたなんて、知らなかった…。
「茉莉、本当に俺の事好き?」
ピクッ、とあたしの肩が動く。
柊司がもう一度あたしのあごを持って、目をのぞきこんでくる。
「お願い、聞きたい。」
「…っ…。」
その目に見つめられたら、敵わないよ…バカ…。
「茉莉。」
もう、ダメ…。
「…好き、だよ…。」
「誰が?」
「…っ…しゅ、柊司がっ……好き…。」
その瞬間、がばっ、とまた抱き締められる。
「!?」
「ありがと。めっちゃ嬉しい。茉莉の口から聞きたかったんだ…。」
そのちょっと甘えるような口調に、あたしもちょっとだけ笑った。
「ずるい、あたしだけ…。」
「え?こんなに好き好きオーラ出してるのに?」
ふふふ、と、自然と笑顔になるあたし。
「見えないよ、バカぁ」
「うーん…じゃあ、これで分かって♪」
そういうやいなや、柊司はあたしの唇にかみつくんじゃないかぐらいのキスをしてきた。さっきのキスとは比べものにならないぐらいの、めちゃくちゃ激しいキス…苦しくってちょっと口を開けたら、すぐに舌が入ってきて…歯茎をチロチロ、となぞったかと思えば、痛いぐらいきつく舌を吸われる。…獣みたいな、キスだった。


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