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調教学園物語
【調教 官能小説】

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〜 金曜日・仕草 〜-2

 先輩の胸元で液晶が光る。おそらくあの装置が私を映し、教室のクラスメイトに映像を届けているんだろう。 首輪から伸びたリードを握った先輩は、私をチラリとも見ようとせず、黙って廊下を進む。 けれども私の動きはちゃんと感じていて、私が前足――つまり『手』――を進めすぎたり、先輩の足にぶつかりそうになって外側へよれたりすると、すかさずクンとリードを引くのだ。 その度に、ぐえっ、とカエルのようなみっともない呻きと共に、私は正しいポジションを探った。

 ただ歩くだけでは勿論ないとでもいうのだろうか。 突然止まって他クラスの扉の前でリードを緩める。 怪訝そうに見上げると、つまらなそうな声音で、

「犬は匂いを嗅ぐ生き物だから、時々は認めてあげる。 ホラ、嬉しいでしょう。 好きなだけ匂いを嗅いでいいのよ? 思う存分貪りなさい」

「わ、わん!」

 本当の犬ではないのだから、匂いなんて全く興味はない。 それでも先輩に『嬉しいでしょう』と聞かれれば、私は喜ばないわけにはいかない。 懸命に尻尾をブンブン振って、とりあえず目についたドアに鼻先を近づける。 汚れがたまったドアの隙間の匂いを、私は嗅がなくてはいけないのだ。 床に鼻先をソッと近づけると、鼻息で埃が微かに舞う。 

「遅い遅い、全然ダメ。 だいたいね、もっと激しく嗅がないと鼻息が聞こえないでしょうが。 まさか私に恥をかかせようっていうの?」

 ビシ、バシッ。

「わん、わんッ! フグ、グガ、ガッ、フガフガフガフガ!」

 お尻の双丘を交互にぶたれ、慌てて鼻を擦りつける。 そのまま鼻で呼吸をしても音にはつながらないので、わざと鼻の奥を無様に鳴らす。 パサついた香りと共に、埃が粘膜に纏わりつく。

「バカにしてるの? それじゃ豚にしか聞こえないわ。 犬らしくっていってるでしょうが」

 ビシッ。

「うぎっ……わ、わん! クン、クン、クン……クンカ、クンカ、クンカ、クンカ!」

 全く同じ場所を鞭が撫でる。 思わず漏らした悲鳴を上書きするため、私は全力で鳴いてから再び鼻をひくつかせた。 今度は敢えて鳴らさずに、激しく息を出し入れさせる。 鼻の奥ではなく入口が振動し、ズズズ、鼻汁を啜る音がまじった音だ。 お世辞にも立派とはいえない、みっともない音。 けれどB29先輩は、

「じゃあそろそろ次ってことで」

 グイ。 リードを引っ張ってドアの前から更に歩を進める。 ということは、匂いを嗅ぐ動作はこんな感じでいいんだろうか? 鞭で躾けられなかったのは合格を貰えたからだろうか? おそらくそういうことだろう。 その証拠に、次に先輩が立ち止った場所で、同じように鼻をクンカクンカ鳴らしてみたが、先輩からはお咎めがなかった。 

 廊下を数回往復してから階段を降りる。 二足歩行ではサッと進める階段も、四つん這いでは簡単にいかない。 前傾のまま倒れないよう前足をつっぱり、それでいて先輩の足許から離れないよう、どうにかバランスをとって床を這う。 廊下を這うときよりもお尻が高くなったためだろうか、先輩に2度ほど平手で叩かれた。 パァン、という小気味いい響きが誰もいない廊下に木霊した。

 そうしてC棟から渡り廊下を通り、下足棟へ移動する。 先輩は靴を履き替えたが、私は素足のままだ。 考えれば当たり前だが、靴を履いたり脱いだりする犬はいないということだろう。

 下足棟を出ると、先輩はC棟前の花壇で立ち止まった。 また匂いを嗅ぐのかと思い、慌てて花壇に鼻を近づけ、フンフン、くんかくんかと鼻をひくつかせる。 ところが、さっきまではすぐに歩き出した先輩が、今度は中々動いてくれない。 仕方なく匂いを嗅ぎ続けていると、

 ビシッ。 お尻に一段と激しい打擲だ。

「あぐっ、ううっ……わん、ワンワン!」

 たまらず涙目で先輩をみあげる。 さっきまではコレでよかったのに、いきなり仕打ちが増えるなんてあんまりだ。 言葉が禁じられた私には目で訴えるしかない。 上目遣いで先輩に理由を求めるも、私の気持ちを知ってか知らずか、先輩は視線すら合わせてくれなかった。

 ビシッ。 代わりに鞭の第2打が、今度は膣を直撃する。 

「いぐっ、わうぅ」

 ビシッ。 第3打は太股だ。

「わんっ、わん、わんっ!」

 ビシッ。 第4打。 連続して太股の内側。

「わぐっ……! わうん……!」

 どうしろというんだろう? もしかして、どうすればいいか、肝心な時には答えを教えてくれないのだろうか。 さっきのように、私が自分で察するしかないのだろうか。 それにしたって、目も合わしてくれない上に、鞭で激しくぶたれるだけだ。 先輩の気持ちを推し量るにも材料が――、

 ビシッ。 5発目。 内側から外側に、押出すように太股を鞭が撫でる。

「あっ、ぐっ……あっ……わ、わん……?」

 ――ふとイメージが浮かぶ。 この鞭の動きは、もしかして『太腿をあげろ』ということではないか。
 もしそうなら、犬として足をあげるケースは1つしかない。 本来は雄専用の仕草であって、メス犬の私には縁がないのだけれど、きっとそうだ。



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