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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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K-4

三次会は少し離れた所にあるカラオケだった。
陽向は瀬戸の隣でグッスリおやすみモードだった。
周りの音がひどく大きい。
ここはライブハウスか?
目を開けると、大画面の前で踊り狂う人たち…。
クラブ…?
「あ…」
「起きた」
「え……あっ!す、すみません!!!」
ようやく状況を理解した。
カラオケで瀬戸の膝の上で寝ている。
死にたい……。
「もーっ!」
陽向は頭を抱えて「最低だ…」と呟いた。
起き上がると、肩から何かがずり落ちるのを感じた。
あれは…瀬戸が着ていたライダース……。
「半袖で寝てちゃ寒みぃーだろ。着とけ」
そのまま肩にライダースをかけられる。
陽向は黙ってそのままクセになっている体育座りをした。
「瀬戸さんの優しさだよ、珍しいよね」
隣で進藤がクスクス笑う。
「なんか歌わないの?」
進藤は笑顔のまま陽向にデンモクを渡した。
「え…あ、あたしカラオケ苦手で……」
「うっそー!ボーカルなんでしょ?」
「えっ?!なんで知ってるんですか?!」
「瀬戸さんから色々聞いてるから。…ホラ、入れなよ」
「いやでも…こんなハスキーボイスじゃ歌えないです…」
「いーじゃん、味あるよ!」
進藤と2人でデンモクを見る。
そういえば、進藤さんには毎日怒られてたな…。
それも、すっごいくだらないことで。
でもそれだけ進藤さんはあたしのこと見ててくれたんだよね。
一緒にご飯食べに行った時、進藤さんの知らない一面を知れて、すごく楽しい日を過ごしたのを覚えてる。
今ではチームは別々になってしまったけれど、こうして笑いあっていれる時間がとてつもなく嬉しい。
でもそれと同時にすごく虚しい。
もう、同じチームじゃないんだって思うことが、とてつもなく…。
気付いたら泣いていた。
デンモクに涙が落ちるのを、進藤は見逃さなかった。
「風間?」
「…っ」
進藤は瀬戸に合図をした。
周りで踊り狂う人を避けてコッソリと外へ出してくれた。
陽向はヒンヒン泣きながら近くのソファーに座った。
「風間ー!どーしたの?」
「…ひんっ」
ふと、懐かしい匂いが鼻を掠める。
瀬戸がタバコを吸っている。
「どーした風間…」
「あたし…」
「なに?」
進藤の優しい声が聞こえる。
「あたし…進藤さんがプリセプターでよかった…」
陽向はそのままワンワン泣いた。
「瀬戸さん…ちょっとあっち行ってて」
「へいへい」
瀬戸はタバコを灰皿に投げてうるさい部屋へ戻って行った。

ボロボロと涙が零れ落ちる。
「ホントだよ。泣いてるヒマあんなら勉強しろ!」
2人でケラケラ笑う。
陽向は進藤にギュッと抱き付いた。
「進藤さんがプリセプターで本当によかった…」
「あたしも風間がプリセプティーで本当によかったよ。頑張るんだよ、ちゃんと見てるから」
「ハイ」
「風間はやっぱり甘えんぼキャラなんだね」
「そんなことないです」
「一人っ子でしょ?」
「えっ?!一人っ子です…」
「やっぱりー!なんか頼もしいトコもあれば甘えんぼなトコもあるし…一人っ子ってそーだよね!」
「甘えんぼじゃないですっ!」
「かわいーなー風間は!あ、それはそーと…里見さんには気を付けなね」
進藤に『気を付けな』と言われる人に関してはだいぶバリアを張る。
瀬戸がそうだったから。
「え…?なんでですか?」
「何でってか…酔ったらヤバいオカマになるし、さっきだって風間のことなんやかんやしてたじゃん?」
「んー…そーでした?」
あまり記憶にない。
酔っ払っている時に関しては、ほとんど記憶がない。
「ウソでしょ?!ホント危ないな風間は!瀬戸さんが心配する気持ちちょー分かる。…風間、あのね、里見さんは風間のコト狙ってんの」
「…え?」
「間違ってお持ち帰りなんて笑えないからね!分かった?!」
「は…はい!」
里見先生があたしを……?
まさかー!
ないない!
酔っ払ってあんなオカマに豹変するような人が女好きだなんて。
男の方が好みと思うくらいだったもん。
陽向は「ありえないですってー!」と笑ったが進藤は本気だった。
2人で話していると、「うぃー!」と噂していた里見が姿を現した。
噂をすれば……とは、このことだ。
「ちょー盛り上がってるよ、あっち。次、七瀬歌うからさ、早く行きな!…つーかさ」
里見は陽向と進藤に酔っ払った目を向けて微笑んだ。
「お前ら2人ちょーかわいい。なんの話してたの?」
「何だっていーでしょ!ホラ、風間行くよ!」
「あぁっ…ハイ!」
ベロベロに酔った里見を残してその場から立ち去る。
廊下を歩く間、進藤は「なんなのあいつ。ちょーキモい」とご立腹だった。
部屋に入ると、とんでもない爆音と共に七瀬の歌声が響いた。


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