greenroom talk〜楽屋話-1
「というわけで、鷹匠への復讐は完了したってわけだね?」オフィスのソファで、神父尊はコーヒーを片手に三人に向かって言った。
「はい」
「でもさ、これって復讐になってないんじゃない?」
「え? そうですか?」
「龍くん改め鷹匠はさ、修平くんに液を掛けられるの、そんなにイヤじゃないんじゃない? 実は」
「そうですねえ」茶髪の龍が言った。「俺自身は全然平気ですね。修平さんのだから。でも鷹匠は心底イヤなんじゃないですかね。男に興味はなさそうだし」
「って、」修平が言った。「龍、おまえは興味あるのかよ、男に」
「あるとしたら、修平さんでしょ、それにケン兄かな」
「な、なんでだ?」
「かっこいいし、ガタイもいいし。それに修平さんをそういう目で見られるから、俺、貴男と真雪とのエッチシーンに興奮できるんだよ」
「そ、そうなのか?」
「真雪にはもちろんだけど、修平さんにも性的に興奮できるからね」
「さらっと言いやがって……」修平は赤くなってコーヒーをすすった。
「でもさ、あのシナリオ、今回は龍くんの手によるモノなんでしょう?」神父尊が言った。
「はい。そうです」
「真雪ちゃんは抵抗なかった?」
「え? 何がですか?」
「だって、龍くんの目の前で修平くんとセックスするんだよ。平気なの?」
「平気ですよ。だって、こないだも夫婦交換させてもらったじゃないですか」
「そりゃそうだけど……」
「龍が見てるから、余計に興奮したりもしましたし」
「へえ」
「真雪も俺も、きっとそれぞれが目の前で別人とエッチしてるの見て興奮する傾向があるんじゃないかな。もちろん相手限定ですけどね」
「真雪も、龍が他のオンナとセックスしているのを見て、興奮したりするってのか?」修平が訊いた。
「こないだの夫婦交換でさ、あたし龍が夏輝と愛し合ってるの見て、身体がどんどん熱くなってたもん」
「嫉妬心ってわけじゃなくてか?」
「うん。あ、でももちろん夏輝だからだと思うよ。龍があたしの知らないオンナと浮気してる現場を見たら、きっと逆上して刃傷沙汰になる」
「怖えな」修平はまたカップを口に運んだ。
すぐにカップを口から離して修平は顔を上げた。「そうだ、そう言えば」
「なに? どうしたの? しゅうちゃん」
「俺、めっちゃ恐かったせ、龍」
龍は意外そうな顔で修平を見た。「え? 恐かった?」
「真雪がよ、いつでもおっぱい触りに来てもいい、って言った時、おまえ睨んだだろ」
龍は苦笑した。「ごめんなさい。つい……」
「龍があんな顔したの、俺初めて見た」
「そんな顔してた?」龍はばつが悪そうに頭を掻いた。
「真雪も迂闊なこと言うんじゃねえよ。龍はおまえのおっぱいに相当思い入れがあるんだろ? 他のオトコに触らせたかないに決まってっだろ?」
「あの一言の方が鷹匠への復讐になってたのかもね」真雪は笑いながらカップを口に運んだ。
「鷹匠の正体は龍くんだからね」神父尊が言った。