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初恋はインパクトとともに
【青春 恋愛小説】

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初恋はインパクトとともに ♯5/魔法の言葉-3

「あれ?木刀?いつもの刀じゃないのか?まあ、そのほうが安全で良いけどさ。」
「この『一式・竜薙』にとってはこれが本来の姿なんだ…刀身を我が竜童児家所有の霊山の神木の落ち枝から削りだしたこれで…」
「ようは仕込み刀か?」
「ちょっと違うが…まあ間違ってもいないな。」
「へぇ…(もうちょっとやそっとのことじゃ驚かんよ俺は)」
竜薙を構える。やはり竹刀とは違う…掌から氣が流れ込み全身に広がり、満たす、心地良い感覚だ。力が湧いてくる。
まあ、彼が凝視してきていたため、ちょっと緊張してしまったが……
照れてたんじゃないかって?まさか!まさかなぁ……
「お〜い…俺らのこと忘れてないか〜い?」
うん。正直忘れていた。
「くっそ〜仲良さそうにしやがって。うらやますぃ〜!」
大将格の男は何か地団太踏んでいた。
「全く脈無しだってことは分かってたんですから…」
「うっさい!意地でも勝って俺の彼女にぃぃ!!」

相手は四方から向かってきた…私は竜薙を脇に構えると動きが大振りになっている大将格の胸元へと一気に潜り込む…竜童児流の足運び『瞬歩』という動きだ。相手の胸元へ飛び込んだ私はすかさず腕を返し、相手の背からなぎ払った…そう、4人を一線で攻撃するために…
大将格を残りの三人の間へ押し払ったことにより、全員の足並みが乱れ、足が止まる…今だ!
「表弐式…『凪祓』斬!!」
対多数戦で威力を発揮する表弐式・凪祓…私は静かに技を唱える。
全身に溜まった氣が…腕から掌、そして竜薙へと籠もる、広がる、溶け込む、流れ込む…そして一気に解き放つ…竜となって相手を呑み込む。
竜は『ザァァ…』という静かな轟きとともに男たちを打ち上げた。

「安心せよ、峰打ちだ…」
アカネのほうを振り返ると、彼は口をポカ〜ンと開け、唖然としていた。何か物珍しいものでも見たかのように……どうしたんだろうか?


「り…竜が見えたよ…」
先ほどの決闘(決闘というほど大した勝負にはならなかったが)から小一時間…アカネはいまだにホゲェ〜としていた。
「あの竜波動こそ竜童児が竜の子と言われる由縁だ。」
「ふぅん…」
やっぱり彼は何だか呆けた顔をしている。
「って何回説明させるんだ!」
そう、もうかれこれ五回はこんなやりとりを続けている。
「だってさあ…だって……」
「あ〜珍しいかろうよ不気味だろうよ…」
何だか私もやるせなくなってきた……もっとこう、何と言おうか…感嘆歓喜な表現を期待してたんだよ。彼の…
「すんごく凄い!」そう、彼がそう言ってくれるのを……
「え??」
「…すっげぇ〜よ!かっこいいっつうか…とにかくすげぇよ!うん、ホントすげぇ!!バカみてえに凄い!!!波○拳とかかめ○め波でなく現実なんだろ?マジすんげ〜〜凄すぎるって!!!」
今度は何か興奮しだした。凄いとすげぇを何度も何度も連呼して…
確かにこういう展開を期待してはいたのだが、こう何度も凄い凄いと言われると、はしゃがれると…流石に…何というか〜
「アキラ?どうしたんだよ?顔が赤いよ?」
(うむぅ…私の気も知らないで…)
「お、お…」
「ん?」
「お、おま…うん…そうだ。」
「な、何だよ?」
「お、おまえはバカだ!」
「バカって…な、何だってんだよ?」
彼は怪訝そうな顔をしている…そらそうさな…
「うるさい!おまえはバカだバカ!あんなのが凄いって?おまえとは鍛えかたが違うんだ!」
「そらそうだろうけどもさ…」
私も自分の取っている行動がよく分かったいない…だが。
何だかもう彼の言葉など聞こえなかった。


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