セックスの意味-9
そんな与太話をしている間に、画面の中の二人はついにひとつになることが出来たようだ。
田所さんの上に重なる形で繋がった二人。
女の身体に性器を埋めたツトムくんは、初めて味わう快感に、苦しそうにも見える表情で深く息を吐いていた。
一方、田所さんはあまりの激痛に涙を流しながら、息を弾ませている。
処女には辛いだろうな。
端から見ると、女の子が痛がる姿はやはり胸が痛くなる。
だけど、カメラワークは、そんな田所さんの姿を余すとこなく映し出していた。
「なあ傳田。初体験ってやっぱり痛かった?」
息を呑んで田所さん達を見守っていた傳田が、冷ややかに俺を見る。
「またセクハラですか」
「いやいや、女の初めてってすげえ痛いんだろ。でもって、痛がられると男も申し訳なくなってくるわけよ。でも、生殺しはキツいから結局女に我慢してもらうしかないんだけど、女としては途中で止めてくれた方が嬉しいのかなってふと思ってさ」
横目でディスプレイを見れば痛くて泣いてる田所さんに、ツトムくんが恐る恐る腰を動かしている。
田所さんだけを見てると、可哀想になってくるのだ。
『っく……』
『痛い……よな……。止めるか?』
ハラハラと涙を流しているのに、いざツトムくんが止めようとすると、慌てて首を横に振る。
『止めないで……』
『でも、千鶴が辛そうで……』
『へ、平気……』
そう言うものの、眉間にシワを寄せて唇を噛み締める姿は、平気とはとても言い難い。
俺だったら、そんなに痛いのなら絶対止めてもらうんだがな。
「痛くたって、相手を愛しているなら耐えられるんですよ」
ぽつりと呟いた傳田に、横目で見ると、やけに得意気な顔でディスプレイを眺める横顔があった。