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【その他 官能小説】

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セックスの意味-8

「でも、社長だって本当に好きになった人とセックスしたことくらいあるでしょう?」


傳田の問いに、思わず声が詰まる。


まだ、普通の高校生だった頃、それなりにカノジョはいた。


だけど、本当に好きだったのかと言われると、即答できなかった。


とりあえず可愛かったらOK、みたいなとこがあった当時の俺は、好きだと告白することは自分の気持ちを伝える手段ではなくて、「ヤらせて」とお願いする手段であった。


現に、ある日突然AV男優にさせられた時も、当時のカノジョの存在なんて頭の片隅にも残ってなくて、日々生きることに精一杯で。


あとは、セックスマシーンと化した俺は、仕事として、AV女優とセックスしてきただけで、その間、一度もカノジョのことを考えないまま、その記憶も曖昧になっていった。


「うーん……、本気で人を好きになったってのは……ない、かな……」


なんとなく、自分が未熟な気がして、ついつい語尾が小さくなる。


井出も傳田も意外そうに目を見開く、その視線が気まずい。


「……なんかそれって、寂しいな」


ぽつりと呟いた井出の一言が胸に刺さる。


俺の人生を否定された気になって。


本音は反論したかったけど、ムキになると寂しい人生を送った自分を認めてしまうような気がしたから、わざとカラカラ笑いながら、


「しゃあねえだろ、恋愛する間もなくAV男優になったんだから」


と言うしかなかった。


「そうだよな。でも社長はその分可愛い女優とヤりまくってきたんだから」


「そうそう、だからプライベートまで女と関わるのはごめんだわ」


「そりゃあんだけヤってたら、お腹いっぱいだよな」


井出がすぐに笑ってくれたから、ホッと胸を撫で下ろす。


そうやって男同士で笑い合っている横で、傳田がやけに神妙な顔でこちらを見ていたのを、俺は気付かなかった。





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