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マリネしたマジックマッシュルーム
【痴漢/痴女 官能小説】

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3.-3

 康介がポツリと言うと、彩希は胸を撃ち抜かれた。うわっと思ったら、側身と背中を快美の漣が駆け上がってきてうなじまで達した。身体に力を入れて引き締めると、足の間に熱くヌルりとした感触があった。
 こちとら未経験なのにこのヌメりたるや何ぞやと焦り、
「そ、そんなの言わなくっていいって。……いいのー? せっかく東京行くのに、お姉ちゃんが一緒だと、見張られててウザいよ?」
 康介にカッコ悪いところを見せたくなくて、そうからかった。
(それにしても……、昨日のアレする時、どうするんだろう)
 寮に入ると言っていた。寮生活といえば、きっと先輩や同級生たちと相部屋だ。
 意識すればするほど全く余計なことを考えている自分に気づき、何だか混乱してきているから、とにかく落ち着こうと、肩を上げて大きく深呼吸をする。
(ぎゃっ)
 ゾクっと体が波うった。寝るつもりだったから、ブラをしていない。ふと見下ろすと、Tシャツの前が二点で硬く尖っていた。乳首が擦れた瞬間、脚の間がまた熱く潤ったのが自覚された。物凄くふしだらな格好で弟と対峙してしまっていると意識されてくる。
「そんなことないよ。姉ちゃんが東京に来てくれたら心強い」
 康介が笑い混じりに言った。
 よく分からないがスゴいらしいサッカーのテストに合格するほど逞しくなったのだから、もう姉に守ってもらう必要はない。いつまでも姉を頼ってはいけない。
 そう嘯きたかったが、それを言うと東京で会えなくなるから言わなかった。
 心強い――姉が側に居てくれれば心強くて、嬉しい。
 すなわち一緒にいてほしい。
 やや拡大解釈をした彩希はもうガマンできなかった。
 よいしょ。彩希はわざと声に出して戸惑いを誤魔化し、ベッドから立ち上がった。裸足のまま康介の方へ進んでいく。近づけば近づくほど薄闇の中から弟の姿が明瞭になったから鼓動が早くなり、熱い疼きがショーツの中で渦巻いて膝が折れそうになった。
 康介のすぐ前に立った。暗みの中でも分かる、澄んだ目で姉を見上げている。
「ま、とにかくさ、頑張ってプロになってね。お姉ちゃんが応援するよ、これからも」
「うん。ありがとう」
「日本代表になったら、お姉ちゃんも自慢できるね」
「……そんな大それたこと言ったら笑われるよ」
「でも、目指して。康ちゃんが代表になったら、『あれは私のお陰だよ』って、その時は私のオテガラにするから」
「……うん」
 暫く見つめ合った。
 あれ? 可愛くて大好きなお姉ちゃんが、生脚丸出し、Tシャツ一枚ノーブラ姿で、ここまで近づいてやったのにガバッと来ない。
 ね、姉ちゃん俺っ……!
 いやっ、康ちゃん落ち着いて。
 ――どれくらいまで嫌がればいいのかな。
 姉ちゃん、実は俺、姉ちゃんのことが……。
 そう、きっとソコだ。康介だって内心緊張しているに違いない。ガバッといくタイミングを掴み損ねているのだ。
「……姉ちゃん」
「……!」
 遂に来た。康介が脚に置いていた手を離したから、彩希は身をピクンと震わせた。「……、……?」
 だが、上がったのは片手だけ、指で彩希の髪を指差していた。
「これも、俺を東京に行かせるためにわざわざ染めたの?」
「……。……そうだよ。インパクト抜群でしょ?」
 髪を染めたのは康介のためだ。だがそれは親に強印象を与えるためにやったのではない。そんなことしたら逆効果であることくらい予想できた。全開で怒られると分かっていて、彩希は敢えてそうしたのだ。
 昨日、康介に投げつけられた雑誌。その中では肩口も素足もヘソも出した小麦肌の女の子が、不敵な笑みでグラビアに写っていた。豪奢なアクセサリーで飾り、パステルカラーやアニマル柄の派手で小さな下着。金銀の髪に、輪郭くっきりのメイク。
(……あ、メイク……)
 こんなことなら、今日中にメイク道具を一新させておくべきだった。肌を灼くのは間に合わないから、せめてしっかりとメイクをして待っておいてやればよかった。
 肌はまだ白く、ドスッピン。もしかして金髪になってくれたまではいいが、肌の色が不服で物足りなく思っているのかもしれない。だからガバッと来ないのか。
「でも、東京に行ったら戻すんでしょ?」
「んーどうしよっかな。結構、似合ってるっしょ?」
 こういうヘアスタイルが康介は好きなのだから、戻すわけがなかった。髪の毛を梳き、シャンプーの香りが弟の鼻先に届くようにして見せつけてやる。
「う、うん……」
「でしょー……? ほれほれ」
 じれったい。彩希はもう一度、よいしょ、と言って康介の足の上に跨って登った。椅子が苦しげな音を立てる。康介の目の前で頭を左右に振って、毛先で顔を擽ってやった。狭い椅子の上に跨った不安定な場所で頭など振れば、バランスを崩して落ちそうになる。
「ちょ、姉ちゃん……」
 わざとだった。案の定、後ろに転がりそうになる背を康介が受け止めてくれる。「……何やってんだよ」
「康ちゃんが素直に、『髪、可愛いよ』って言ってくれないから催促してんの」
「そ、そんなの催促して言ってもらうことじゃないだろ?」
「いーの。ほれ、素直になって。姉ながらドキドキするだろー?」
 体面上はからかっているが、その実胸は康介の賛辞を待つ期待感に痛く打っていた。
「どうしたんだよ、もう。……降ろすよ?」


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