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マリネしたマジックマッシュルーム
【痴漢/痴女 官能小説】

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3.-2

「……東京に行ったら、お父さん、お母さんが心配しないように、康ちゃんの面倒も私が見ます。……お願い。行かせてあげて」
 フローリングに涙が落ちた。ついでに洟水も落ちたから、傍から真希が黙ってティッシュを差し出した。能天気に見えた彩希が、泣いてまで頼んできた真摯さに気圧された父親はずっと黙っていたが、その間も頭を下げ続ける彩希を見て、やがて諦めたように承諾の返事をした。
「よかったね、お兄ちゃん」真希がアイスキャンデーの棒を齧ったまま康介の肩を叩いた。「お姉ちゃんのお陰だ」
 彩希は泣き笑いで洟をかんだ。
 だが、その後すぐに金髪にした件をこっぴどく叱られた。馬鹿なのにそんな頭をしてたら馬鹿丸出しだ。そんな口汚い評を、父ならばともかく母が言ったからムッとなった。だがここで食ってかかっては、せっかく康介の東京行きが許されたのに蒸し返されかねないから耐え忍び、今黒に戻すと髪の毛が痛む、東京に行ったら戻すと適当な嘘をついて難を逃れた。


 弟の夢のため尽くせたことに満足して眠れなかった。幾分不純な動機も含まれていたが、何とかバレずに済んだ。由香里には何の断りもなく勢いで両親に言ってしまい、どうしよう、一報入れといた方がいいな、と思って携帯を手に取った時、ドアがノックされた。
「姉ちゃん……」
 ドキッとした。こんな皆が寝静まった夜半に部屋を康介みたいなイケメンが訪れたら、女の子なら誰だって胸を高まらせてしまうのに、この鈍感。そんな思いを隠し、冷静さを装って康介を招き入れた。
 ジャージ姿の康介が静かに入ってきてドアを閉める。彩希は電気を点けようとしたが、薄闇の中に浮かぶ康介の佇まいが、何やら悲痛な、その顔を姉に見られたら可哀想になってしまう予感がしたからやめておいた。
「んー、どうした?」
 康介はゆっくりと暗い部屋の中へ歩みを進めると、殆ど使わなかった勉強机の椅子に腰掛けた。弟も電気を点けようとしなかった。きっと明るい中では言いにくいことがあるのだ。
「……俺のせい?」
「え? なんのこと?」
 康介が何を気にしているのか彩希は分かっていたから、白々しくトボけてみせる。
「俺がセレクションに受かっちゃったから……姉ちゃんまで東京に行かなくちゃならなくなった」
 彩希は由香里へのメッセージ入力をやめてスマホを枕の上に投げると、
「なに聞いてたの? 東京に行くのはユッコのためだって言ったじゃん」
「……でも、そんな話してなかった」
「んー、前々から考えてたんだよね」
 大嘘だ。全くそんなこと考えていなかったし、由香里に誘われてすらいない。「……康ちゃんが東京行くってなったらいい機会だなって思っただけ」
 機会も何も、康介が東京に行くから行く。行きたいのだ。
「ウソだよ」
 あれ? さすがの康介にも微妙な女心が伝わってしまったか。そんな心の機微に気付くなんて大人になったもんだと胸をジーンと潤ませていると、「なんで泣いたんだよ?」
 康介が真面目な顔で問うてきた。
「あー、あれ? お父さんとお母さんにオッケー出させるためのウソ泣き」
「……」
 彩希の答えに何も言わず康介が座り直すと、椅子にギイと鳴った。拳を作った両手を脚に置き、背筋を伸ばしてベッドの上の寝間着姿の姉を見てくる。
 薄暗闇でつぶさには見えなかったが、ずっと見つめてくるその視線に彩希は背肌が粟立って、思わずロングTシャツの中で身を慄かせてしまった。ワンピースとして着ているから下肢は下着以外に何も身につけていない。ふと気づくと、部屋の中で寛いで、親友に連絡を取ろうとしていたところだったから、ベッドの上に胡座をかいていた。膝頭が丸見えで、Tシャツの裾が太ももの間にピンと張っている。
「え、なに? どうしたの?」
 ひょっとして中、見えてる? ていうか見てる? ずっと見てる? 見て欲しい気持ちも勃興したものの、やはり恥ずかしさが大半を占めたから、彩希は何気を装って足をゆっくり閉じ、斜めに折って揃えた。胸の中がシクシクと搾られるように甘痛い。
「ウソじゃないよ、本気で泣いてた」
「そ、そんなの……、康ちゃんに分かるの?」
 ヤバい。この雰囲気はヤバい。そして嬉しい。
 どうしよう、このまま康介がベッドにやってくるのを待っていていいのだろうか。
 ――ベッド? 思春期真っ只中の男の子が、こんな美しい姉のベッドに入ってきたら、もうどうなってしまうかわからない。迫られたら押し返す自信がない。というより、迫られても押し返さないかもしれない。
(待って待って、心の準備できてない!)
 不安と嬉しさない交ぜに急いで心の支度をしようと思ったら、真っ先に昨日見てしまった康介の体が思い出された。特に切なそうな顔で握っていた、弟しか持っていない体の突起がまざまざと映像として浮かんでくる。
「……ありがとう。泣いてまで頼んでくれて……ありがとう。真希が言った通り、姉ちゃんのお陰だ」


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