20.-2
「…ティッシュ、取ってください…。」
胸の上に次長の精液を受け止めたまま、私は動けない。次長はティッシュを取る代わりに、床の上に落ちた私のバッグに手を伸ばし、震えるスマホを取り出す。
「電話。彼氏?智樹って。」
私は次長を見上げながら、無言で首を振る。次長は薄い笑いを浮かべながら、指で画面をなぞる。私は握らされたスマホを、自分の耳に当てる。
「もしもしー、志織−?」
「…もしもし…うん…。」
次長はヘッドボードに手を伸ばし、私の隣でタバコに火をつける。
「なにしてた?」
「…寝てた。」
「なんか、急に逢いたくなってさ、今から、行っていいかな。」
次長の指が、冷えた精液を私の身体に塗り拡げる。
「…今日は、ちょっと…。」
ぬるぬるの指先を乳首に当てられる。
「都合悪い?」
次長の指が何度も乳首を弾く。
「んっ…うん…ちょっと、熱っぽくって…。」
「風邪?なんか、声おかしいね。」
精液をすくい取った指を、口に入れられる。
「…そう…風邪…だと、思う…。」
口の中に次長の精液の味が拡がっていく。
「ご飯食べた?なんか買っていって上げようか。」
智樹の声は、いつも通り優しい。指を舌になすり付けられる。
「…ん…、大丈夫…うつすと、悪いから…。」
タバコをもみ消した次長が、またペニスにコンドームを被せ、私の両脚を開く。私は目で懇願しながら、首を左右に振る。
「薬は?飲んだ?」
両手で脚を押さえつけられたまま、ペニスを入れられる。
「…っ…う…ん…。」
「ほんと、具合わるそうだね。」
ゆっくりとペニスを出し入れされる。
「…うっ…ん…ごめん、ね…。」
漏れそうになる声を必死に我慢しながら、智樹に謝る。
「じゃ、ゆっくり休んで。なんかあったら、いつでも電話していいから。」
「…あ…ありがとう…。」
「お休み。」
「…おやすみ、なさい…。」
通話を切ったスマホを、ベッドの上に落とす。私の目から涙が溢れ出す。私は涙を流しながら、両手で次長の身体を強く抱きしめる。
「…ぁあっ…んっ…んっ…ああっ…。」
激しく身体を揺すられ、我慢していた声が漏れ始める。ぐちゃぐちゃになった頭の中で、智樹の顔が粒子になって、風に飛ばされていく。