初夏の莟 前編-1
「…… …… …… 」
『ようやくお目覚めかい?』
身動きが取れぬようベットに四肢を拘束し猿轡も嵌めたことで、その目覚めを知る為に傍らで注意深く窺っていた。
すでに、施設に到着し三時間が経過しようとしていた。
その間軽い食事と入浴を済ませ、体内からは要らぬ緊張と疲労は抜けていた。
それでいて下腹部の煮え滾るような強張りは、一向に治まる気配をみせることはなく。
もっとも長い間恋い焦がれた少女を前に、それは当然の現象とも言えた。
そして指一本触れずに待てたかと言えばそうでもなく。
だからと言って意識の無いまま処女孔を貫くのは、趣に欠けると同時に計画全体の大きなぶれに繋がると考えられた。
『きみが目覚めるのを待っていたんだ。恵利ちゃん。いや、今日からは、恵利子と呼ばせてもらう』
俺はそう言うと、ベット脇ソフォーから身を起こす。
「むうぅ、うぅ、むうっ」
途端、可憐な少女は顔を背ける。
それは視界の隅で、一瞬捉えてしまっった物への拒絶に他ならなかった。
薄暗い室内は空調の恩恵により、壁一枚隔てた外気温と異なり快適である。
それにも関わらず、俺は全裸で少女が目覚めるのを待ちわびていた。
下腹部では隆々と天を向く陰茎が、今や遅しと事の成り行きを窺う。
『どうだい、恵利子?』
二、三度扱きながら、淫欲滾る陰茎に姪の視線を促す。
愛らしく清らかさ漂わせる瞳は、再び大きく背けられる。
《むんずり》と言うか? 《がっしり》と表現すべきなのか?
手入れの良く行き届いた黒髪を掴み、頬に押し付け対峙させる。
『しっかりと見るんだ! 今日からこれが、きみの命運を握る存在となる』
「?!」
侮辱に満ちた言葉に、不可思議と反抗に満ちた光りが瞳に灯る。
『まだ理解出来ないようだな、これから四十日間、きみは俺とここで過ごす事になる』
「!」
その言葉に、聡い恵利子は反応する。
『きみは両親の結婚記念日をサプライズ演出する為、今回の夏休みは校内の特別カリキュラムに参加する事になっている。教育熱心な姉さんは、いたく喜んだそうだね? つまり期間中、学業に勤しんでいるきみとの連絡が途絶えても不審に思うものはいない』
俺は好色の笑みを浮かべ、胸元の白い膨らみに目を向ける。
『もっとも期間中全て、音信途絶のままと言う訳にもいかないだろうが、それでもかなりの期間それが有効であることに違いはない』
「…… 」
付け加えられた現実味のある言葉に、見開かれた瞳には不安と恐怖が色濃く浮かぶ。
『ところできみは今、こう思っているに違いない。《何故? どうして? こうんなことを?》 違うかい、恵利子? その答えは簡単で、俺がきみに好意を寄せているからだ。もっともそれは、きみらの年代で抱く幻想のようなものとは違うがね。端的に表現するならば、欲しているものは《きみの身体》セックスに他ならない』
「ううぅっう」
その言葉に先程までの沈黙は一転する。
『残念ながら何を言っているか解らないし選択の余地は無い。最初にも言った通り、この先俺の下半身《性欲》がきみの命運を握っている。この状況下、今すぐ力ずくで犯す事も容易だし、そうし続ける事も可能だ。しかしそれは理不尽且つ道徳観に欠けていると思う。はじめにも言った通り、俺はきみに好意を寄せている。そこで本来なら無いはずの選択肢を与えようと思う。これは、きみよりに譲歩した提案と言ってもいい』
再び陰茎を扱きながら顔に押し付けると、脅迫とも恫喝とも取れる言葉を続けた。