投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

和州道中記
【その他 官能小説】

和州道中記の最初へ 和州道中記 8 和州道中記 10 和州道中記の最後へ

和州記 -絆--3


「あ…」
切なくそう漏らす竜胆。
繋がったままの身体が疼く。
「ん?何、何か言いたいことがあったんか?」
「そ、そういうわけじゃ…」
顔を真っ赤にして、竜胆は言った。
もう少し彼女が素直ならば、もっと腰を動かして、とでも言っただろうが…。
彼女にそんなことが言える筈も無く。
それを知っているからこそ、一紺は言う。
「遠慮なく、言いたいことあるなら言ってや」
「…いて」
顔を俯かせて、竜胆は小さな声で言った。
「聞こえんわ」
「…動…いて…」
「よう言えました」
笑みを浮かべて、一紺は竜胆の奥を突き上げる。
「や…ぁああんッ!」
「んー、此処かな」
言って、一紺がある場所を抉るように突くと、竜胆が声にならない声を上げる。
背を反らせて、一紺の肩に思わず爪を立てた。
「――――ッ!!」
「当たりや」
肩の爪跡や痛みなど気にした様子もなく、一紺は嬉しげに言う。
「は…んッ…、は、激し…あ…ッ!」
そして潤んだ目で息を荒げる竜胆のそこを再び突いた。
竜胆は、息も出来ないくらいに鳴く。
「あッ、あああああ―――ッ!!!」
「ん…ッ」
竜胆が果てると同時に、かなりの膣圧が一紺を襲う。
慌てて彼女の中から一物を抜き、その腹に精液をぶち巻けた。
気だるさを覚えつつも彼は柔らかな笑みを浮かべ、思わず気を失ってしまった竜胆の頬に軽く口付けをした。

翌朝、目覚めた一紺は、傍らで眠る竜胆を見つめた。
嬉しくて、思わず涙が出そうになる。
思い続けていた人と、やっと結ばれた。夢ではない。
竜胆の暗緑の髪を優しく撫でて、彼女が本当に此処にいることを確めた。
敷布代わりの自分の着物はそのままに、一紺はそっとそこから抜け出した。
今日も、良い天気だ。
一紺は緑の草木の間から覗く青い空を見つめていたが、ふと視線を竜胆に移し、再び流れる暗緑の髪をそっと撫でた。

-----
「…なー、竜胆。いい加減着物返してや」
着物にくるまったままの竜胆に、一紺は苦笑して声をかける。
しかし返事はない。
答えない彼女をからかうように一紺は言った。
「そんなに俺の着物がええって?」
「…馬鹿」
口をへの字に曲げて、竜胆はもそもそと起き上がって、着物を一紺に突き返す。
「素直に返されたら、こっちが困るわ…」
苦笑して、一紺は言う。
ふと、彼は何か思い付いたように含み笑いを漏らした。
気味悪げにその様子を見やる竜胆に、にやりと笑う一紺。
「寒い時には、あれが欲しなるよなあ」
そして突き返された着物は受け取らずに、ただ竜胆に抱き付いて言った。
「へへ、行火!」
「ッ、馬鹿!」

温もりを感じた。
行火よりも遥かに温かい、彼の温もりに触れながら竜胆は思う。
彼ならば、きっと触れても消えない。
彼ならば、信じられる――と。


和州道中記の最初へ 和州道中記 8 和州道中記 10 和州道中記の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前