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和州道中記
【その他 官能小説】

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和州記 -絆--2


そしてそんな時に出会ったのが、一紺であった。
両親を亡くし、師匠と生き別れた彼とひょんなところで出会った。
家のない二人が、あてもない旅に出たのはそれからすぐのこと。
境遇が似ていたから、何か感じるものがあったのかもしれない。

…彼と一線を引いていたのは、怖いからだった。
触れてしまったら、彼は消えないだろうか?
自分を置いて行かないだろうか?
不安な心が竜胆に問う。
それでも、彼には触れてみたかった。
彼の気持ちに応えたかったし、何より温もりが欲しかったのだ。

「…触れて良い?信じて良い?」
しゃくりあげながら、竜胆は言った。
「淋しい思いはもう嫌だ…!」
「淋しい思いなんか、させるわけないやろ」
その涙を拭ってやり、一紺は言った。力強い言葉。
彼は、竜胆を強く抱き締める。
「触れて、信じてや。お前を悲しませるようなことは絶対せえへん」
初めて聞いた竜胆の弱々しい言葉。
彼女は、自分に心を開いてくれたのだろうか。
一紺は、少し嬉しくなって照れ臭げに頭を掻きながら、竜胆に言った。
「…好きや」
そして、唇を奪う。竜胆の抵抗はない。
優しく触れて、唇を離す。
抱き締められた竜胆の頬を、再び一筋の涙が伝った。
伝ったそれを、舌ですくい取る。
びく、と竜胆が反応した。
熱い吐息が、一紺の頬にかかる。

身体が敏感になっているのか。
彼女の吐息の熱さを感じつつ、一紺は先のことを思い出してしまう。
悔しくて悲しい、どうしようもない感情が渦巻くのを感じた。
それと同時に、肉欲に囚われた竜胆の姿も思い出してしまう。
(あ、あかん…)
哀しきかな、それは男の性(さが)。
あれだけ欲望を吐き出した筈なのに、一紺のものは再び擡(もた)げ始めた。
「なあ…嫌やったら、ええんやけど…」
一紺が言った。
「お前を、抱きたい」
竜胆は答える。
「お前がそうしたいなら…」
彼女は一紺の瞳を真っ直ぐに見つめた。
「お前がそうしたいなら、私はお前に抱かれるよ」
些かぶっきらぼうな答えではある。
一紺は口元を緩めて、竜胆の額に唇を落とした。
「あ…」
唇は、額から頬を伝って顎へ。そして、首筋を這う。

「ん…く!」
声を押し殺そうとする竜胆に、一紺は笑って言った。
「だから、声我慢せんでもええって…」
「だって…」
潤んだ瞳で、彼女は一紺を見つめる。
一紺はにやりと笑みを浮かべて着物を剥ぎ取り、乳房を強く揉みしだいた。
「ひゃぁ、んッ!!」
不意打ち。思わず竜胆は大きく声を上げてしまう。
「だって?何や?」
意地悪げに笑みを浮かべる一紺を、少しだけ睨み付け、竜胆は言った。
「恥ずかしいからだ…ッ!」
「例えば?」
一紺は勃ち上がった乳頭を舌先で転がす。
「あうッ、ん…やぁあ…」
痺れるような感覚に、身を捩る竜胆。
「こんな声か?」
「こ…のッ!」

無邪気なふうに笑う彼を、竜胆は怒ったように睨んだ。
勿論彼女も本気で怒っていないし、怒るより先に快楽が彼女の脳を支配する。
「は…んッ、んん…ひゃうッ」
一紺は竜胆の秘所を指の腹で擦った。割れ目をそろりと撫でる。
愛液が、その瞬間溢れ出し、彼の右手を濡らす。
そう何度も身体を合わせたわけではないのに此処まで濡れ易いとは、少なからずあの媚薬が関係しているのだろうか。
そんな風に思うと、一紺は心の中に何か暗くもやもやしたものが渦巻くのを感じる。
それを振り払うかのように頭を横に振り、彼は息をつく。
「…ええやろ」
暫くして手での愛撫を止め、一紺は屹立した一物を取り出した。
優しく竜胆の髪を撫でて、一気にそれを蜜壷の中へ突き挿れる。
ぐちゅ、と粘着くような水音。
「あ、ああんッ!!」
竜胆の身体が大きく跳ねた。
ぐじゅぐじゅと音を立てながら、一紺は竜胆の秘所に己の一物を出し入れする。
彼女は腰を浮かせ、一紺の逞しい腕にしがみつく。
「ん、一紺…ッ、んッ」
「何?」
竜胆は無意識に彼の名を呼んだのだが、一紺はそれに反応して腰の動きを止めた。


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