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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-94

 満月の夜は、なにか、妙な気分にさせる。
 部屋の電気を落とし、窓から差し込む明かりにぼんやりとまどろみながら、ふたみは物思いにふけっていた。
 考えているのは、轟兵太のこと。月の初めに、痴漢から助けてくれた人のこと。自分と同じで、安納郷市のファンの人。ちょっと、他の男子とは違う雰囲気をもった人。
(私、移り気なのかな……?)
 少し前までは、男子といえば勇太郎のことしか思い浮かばなかった。それが、今度は轟兵太に変わっている。
確かに、勇太郎には恋人がいて、しかもその人は自分の大好きな姉のひとみ。
かすかに抱いた勇太郎への恋心も、家族に対する憧れの延長なのだと気づいているふたみは、それでも、自分の尻の軽さを思わずにはいられない。
(もっと、お話してみたい……)
 それは、兵太に抱くふたみの思い。そして、それを強く願うとき、ふたみの胸の奥でなにかが、かっ、と弾けてくるのだ。
『あっ、く!』
「?」
 ふたみの耳に、艶めいた声が響いた。一瞬、それは自分が描いた妄想の中の声だと思ったが……。
『く、くふっ!…………あっ、あっ………あぁっ………んくっ!』
 今度ははっきりと、聞き覚えのある声が隣から聞こえた。
(あ、ひ、ひとみちゃん……と、お兄ちゃん!?)
 そういえば、階段を上る足音が二回聞こえた。降りる音は聞こえなかったから、今、隣の部屋には人が二人いることになる。つまり、勇太郎とひとみ。
二人は男女の仲である。そして、夜の部屋に二人でいるとなれば、やることはひとつ。
『あ、あっ、あっ!』
『んっ……あぅあ! あぁん!!』
『あ、ひゃぅ!!』
(し、してるんだ……ひとみちゃんとお兄ちゃん……)
 時折聞こえる、甲高いひとみの喘ぎ声が、耳聡くふたみの聴覚を刺激する。その刺激が血流にのって、ふたみの全身を熱くさせる。
 思わず、壁に耳を近づけて、全ての神経を研ぎ澄ませた。
『あ、あくっ!………ん、んっ…………く、くぅん………!』
(す、凄い……ひとみちゃん、感じてる……)
 お兄ちゃん、上手なのかな? ふたみは、以前、座薬を処方してもらったとき(※第4話参照)の勇太郎の狼狽ぶりを思い出す。多分、あの時でも、二人に肉体関係があっただろうから、それを思うと勇太郎はひとみにリードされっぱなしだろうななどと一人合点に思っていた。
 しかし、どうやら違うらしい。
『ふ……う……あぅ! ……な、……ちゃ………ぁんくぅ!………やっ……な、なめ……!!』
(なめ?…………なめ……舐め!? お兄ちゃん、ひとみちゃんの……舐めて、るんだ!)
 勇太郎が、ひとみの股間に口をつけているビジョンが浮かぶ。その柔らかい舌が、ひとみの淫部を蹂躙している様子が。
(あそこ、舐められてるんだ……ひとみちゃん……)
 その光景は、夢想の中だけに果てしなく淫靡だ。


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