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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-95

『あ、あっ…………!!!!』
 切ない喘ぎだったひとみの声に、切羽詰ったものが混じった。
(え? なに? ひとみちゃん、どうしたの?)
 それ以来、静かになってしまった隣の部屋に、持てる神経の全てを耳に集中して中の様子を聞き分ける。しかし、一向に声は聞こえてこない。
(お、終わっちゃったの……かな?)
 ふたみが、壁から耳を離した瞬間だった。
『ん! んあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』
「きゃっ!」
 壁に張り付かなくてもそれとわかるひとみの絶叫が、耳に突き刺さった。
(なに? なになになに? ひ、ひとみちゃんなの?)
 普段のお姉ちゃんからは想像もつかない獣じみた嬌声に、ふたみはとにかくうろたえる。しかし、一層壁に張り付いて、耳を離さない。いや、離せない。
『んひゃあ!! あぅ、あくぅ!!』
(……………)
『はぁっ! あう! ………………』
(……………あ、あれ………?)
 不意に、ひとみの声が聞こえなくなった。ひょっとしたら、声をセーブしようとしているのかもしれない。
(いいのに、我慢しなくてもいいのに……ふたみ、気にしないのに……)
 もっと、もっと聞きたいのに………。
 壁を破ってしまうくらいに耳を押し付け、未知の刺激をさらに求めようとするふたみ。集中力を極限にまで高め、隣の気配をうかがう。

 じゅ、じゅ、じゅ、じゅ……。

(なに………なんか、水みたいな音……)
 体験のないふたみは、これが、粘膜同士のぶつかりあう淫猥な音だとは認識できなかった。
『…………だ、だめ!! あっ、だめっ、あ、あ、ああああああああぁぁぁぁぁ!!!!』
「きゃあっ!!」
 今までとは比較にならないひとみの咆哮。壁に耳をつけ、なおかつ張り詰めた神経は、その声を大音量で捕獲してしまった。
『ゆ、ゆ、たろ……あっ、ああ! いいっ! いいのっ! ゆ、たろ………!!』
 じゅ、じゅという水の音も聞こえる。そして、抑えていたはずのひとみの艶声も、はっきりと聞こえてくる。
『くうっ! あ、あああ!!』
(ひとみちゃん、我慢できないんだ……)
 それぐらい、いいものなんだ……。ふたみは、ごくりと喉を鳴らす。口の中はかさかさになっているのに。
『だ、だめ! あ、ああああぁぁぁぁぁ!!!!』
 ひとみの、最後はかすれた絶叫が響く。
(イ……っちゃったの?)
 女ならばわかる、性の頂に、姉もまた到達したのかもしれない。
『あ、あぅあ!…………ま、また――――――っっ!!!!』
(え? また? また、なに?)
 それでもやまない、ひとみの激しい喘ぎ。そして、じゅ、じゅという水の音。
『だ、だめ………へ、んに……なるぅ………ぅ………あ、……や、やだ!!――――――――っっっっっっ!!!』
(へ、へんにって? ど、どうなるの? どうなっちゃうの?)
 しかし、その絶叫を最後に、隣の部屋からはもう何も聞こえてこなくなった。
(…………)
 音がやんでから5分。ふたみは、二人の睦みが終わったことを確信した。
(あ、あんなに凄い声……ひとみちゃん、あんなに……)
 まるで獣のような姉の悶え方。それは、普段の生活の中では考えられないことだ。快活に喋り、よく笑う大好きなお姉ちゃんが、あんな声をして。
 はあ、はあ、とふたみは息を荒げる。なにしろ、初めて生で、コトに励む男女の艶声を聞いたのだ。しかも、自分にとって間近な人たちの。その刺激は、安納郷市の比ではない。


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