『Twins&Lovers』-93
「ゆ、ゆうたろ……」
その余韻を残し、潤んだ目が、何かを訴える。もぞもぞと腰を蠢かし、脚を大きく開いて、満開の花弁を月光に自ら晒してみせる。潮を吹くまでに熟れきったその部分は、赤みを帯びて、さらなる刺激を渇望していた。
「お願い……来て………ゆうたろ……きて……」
この疼きを、静めて欲しい。目が、そう訴える。空気を求めるように、ぱくぱく、と開閉する凹みは、その度に粘度の高い愛蜜を吐き出していた。
女神の所有物にしては、あまりにも淫靡で、猥褻な花弁。全ての欲望を、その口で吸い取ってしまおうというのか。
「きて……はやく……わたし………わたし………ヘンになる………おかしくなっちゃうよ………」
「わかった、よ……」
「きて……」
脚を広げながら催促するその姿にあてられながら、勇太郎は身を覆う全てを解き放つ。そして、その欲望を一身に集め、固く大きくそそり立つ肉塔を、女神の望むまま、欲望の泉につき込んだ。
「ん! んあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ひとみの口から、響く喘ぎ。勇太郎の熱さが、泉の温度をさらに加熱させる。
「くぅ………」
そのあまりの熱量に、勇太郎の肉塔は燃えて溶けて無くなってしまいそうなほどだ。
じゅぶ、じゅ、じゅ、じゅ、じゅ………。
「んひゃあ!! あぅ、あくぅ!!」
秘密の粘膜を打ち合う音は、溢れる愛蜜がサイレンサーの役割を果たし、思うほどには響いてこない。しかし、そのぬめり具合が、硬直の極地に達した肉塔を優しく愛撫してくれるので、勇太郎は思う様、ひとみの中を愉しんだ。
「はぁっ! あう! ………っ、っ、っ!」
大きな喘ぎを幾度か繰り返して、ここが勇太郎の家ではないことに気づいたらしく、指をかんで耐えるひとみ。
「〜〜〜〜〜!! っっっっ!! ――――――!! …………だ、だめ!! あっ、だめっ、あ、あ、ああああああああぁぁぁぁぁ!!!!」
しかし、勇太郎がその腰をつかみ、より奥深くまで肉塔を突き上げたとき、ひとみの口は全ての戒めを解き放ち、駆け上る悦楽の音律を、余さず大気に響かせた。
「ゆ、ゆ、たろ……あっ、ああ! いいっ! いいのっ! ゆ、たろ………!!」
「ひとみ! ……ひとみ!!」
ひとみが無意識に差し出した手を、しっかりと握り締め、愛しい者の名を呼ぶ。そして、爛れるほどの熱量をもって繋がった部分を、さらに、さらに、熱く、激しく、突き上げる。
「くうっ! あ、あああ!!」
こぷっ、こぷっ、と一層粘度の高い液体を吐き出して悶えるひとみの下の唇。柔らかいその部分に引き込まれるように、勇太郎は腰を振る。
「だ、だめ! あ、あああぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「くっ!」
ひとみの口から絶頂の絶叫が迸ったとき、勇太郎を包んだ内壁の圧縮率が跳ね上がった。
痙攣し、激しく身震いするひとみの動きにあわせて、圧力を増した胎内もまた、激しくうねる。しかし、勇太郎はその動きでは果てなかった。
「あ、あぅあ!…………ま、また――――――っっ!!!!」
今度は、奥歯をかみ締めて、それでも身体を大きく痙攣させて、ひとみが間髪いれずに頂を超える。その波を受け損なったのか口が大きく開き、声は出さないが、その端からは唾液が漏れ出た。
「ひ、ひとみ……っ!!」
「だ、だめ………へ、んに……なるぅ………ぅ………あ、……や、やだ!!――――――――っっっっっっ!!!」
ぐ、と背筋が海老のように反りあがった。信じ難い、三連続のエクスタシー。四肢を強張らせ、顔を硬直させ、三回の中で最も激しい快楽の大津波を何とかやり過ごそうとする。
しかし、腰に思うような力が入らない。その大津波は、ひとみの建てた小柄な堤防など簡単に踏み越えて、彼女の意識を深い海底まで浚っていった。
「!」
しかし、必死に抵抗しようとした、その、儚いまでのひとみの力みが、勇太郎を包む粘膜にもわずかに伝わり、そのかすかな締め付けが、引き金になった。
「く、くぅ!」
勇太郎は、何とか腰を引き抜く。その動きにさえ刺激され、無意識のままひとみの喉は反った。
びる! びるびるびるびるびるびる!!!
汗に光るひとみの全身に、真っ白い液体が降り注ぐ。何度も、何度でも、何度となく。
(や、やばかった………)
荒い息の中、強烈な射精感に飛びかける意識を何とかつなぎ、ひとみの身体に降りかかった自分のDNAを受け継ぐタンパク質たちに目をやる。それは、ひとみの中に出していたら、百パーセント身篭るであろうと思うほどに、濃厚な色をした生命の欠片たちだった。