『Twins&Lovers』-68
ずぶっ! ずぶっ! ずぶっ!
己の欲望が、ひとみの胎内を行き来する。その襞がめくれてしまうぐらいに、荒々しく。
「あっ……かはっ……は、はぁぁぁぁ……」
その口から溢れ出る涎。焦点の合っていない目。全てが、快楽の対象だ。
勇太郎は、黒い情欲を叩きつけるように腰を打つ。打つ、打つ、打つ。
「はあぁっ! ダメ……しぬ……ダメ……あうぅ! うあっ! ああっ! あくっ!」
ぷしゅぷしゅっ!
「ああぅっ!」
黄色い潮が吹き出た。たった一度の記憶に拠れば、はるか高みの絶頂が近い証。
勇太郎は、もう、完全に己のリミッターを外していた。次々と漏れ出す潮にまみれながら、かまわず腰を打ちつける。
「あっ! あぐぅうっ! うあっ! あう! あう! あう! あう!」
勇太郎の中でこみあげる射精感。それは、怒涛の勢いを得て、先端まで駆け上る。
「!!」
びゅくっ! びゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅびゅ!!!
命溢れる白濁液が、ひとみの胎内に放たれた。
「―――――――――――――――っっっっっ!!!!!」
表記できないほどの音域で奏でられた、ひとみの絶叫。それにあわせて締まる、胎内。
シャアァァァァァァ――――………。
そして、ゆっくりと力が抜けていったひとみの股間から、蛇口をひねったような水音を立てて、黄色い液体が迸り出た。
ところ変って……
「ちょっと、ちゃんと洗ってよね」
ここは、お風呂場である。
情痴の限りを尽くして果てた二人は、後に残された惨状に辟易とした。ありとあらゆる液体を零した布団は、乾いているところを探すのが困難なほどに湿りきっており、特に、ひとみの失禁をまともに浴びたのは致命的ともいえた。
これではドライヤーで乾かすのも困難。天日干しにしてクリーニングに出したいところだが、このままではあまりにも匂いがひどい。
そういうわけで、風呂場で洗濯ということになったのだ。二人で仲良く……とはいかないが、足で踏んで、黄色い汚れを少しでも抜く。
ひとみは、ご機嫌が斜めだ。痴態を晒したのがその第一だろうが、なんとなく、今日のセックスは一方的過ぎて、ある意味、気持ちよくなかった。誘ったのは自分からなので、あからさまに勇太郎に文句は言えない。そんなジレンマが、なんとなく面白くない。
勇太郎も、同じだった。いつぞや感じた途方もない喪失感。いや、前回以上にひどいものが残った。
「ひとみ、ごめん」
「う……ん……」
ひとみの機嫌は直らない。その沈黙が、重くて苦しい。
「ごめん、許して。なんでもするから」
本当に、そう思って、口にする。
ぴん、とひとみの耳が跳ねた――――ような気がした。
「なんでも?」
「……できるかぎりのこと」
「ふふーん」
ひとみの顔に笑顔が戻る。………少々、悪戯っぽいのが気になるが。
「今日、廻(めぐり)神社の縁日なのよね……」
「………」
「花火が上がるから、なかなか盛況なのよね」
「………」
「屋台も、結構ならぶのよね〜」
「……ひとみ」
勇太郎には、初めから勝ち目などない。
「……欲しいもの、なんでも奢ってあげるよ」
「よし、許す」
ひとみは、にこ、と笑うと勇太郎の頬に、口づけた。