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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-43

「わかったよ。でも、明日になっても治らなかったら、そのときは連絡するからね」
 こくり、とふたみは頷いた。
 電話口の相手は、やはりひとみだった。なぜに勇太郎がでたのか、その言い訳を色々と言っていた気もするが、会話の中身は覚えていない。その30分後に、弥生から電話があった。これは、ふたみが入浴中だということにしておいて、弥生としばらく話をしてから受話器を置いた。
 それから勇太郎は、何度もふたみの部屋と洗面所や台所を往復していた。
 9時を越えた辺りだろうか。ふたみの熱が少しだけ上がってきた。
(38℃か……)
 ふたみから受け取った体温計をにらむ勇太郎。ポケットには、杉本から預かった解熱剤がある。ふたみを楽にしたいなら、この薬は今こそ処方すべきだろう。
「ふ、ふたみちゃん」
 なに? とばかりにふたみは顔を向けた。
 勇太郎は、ポケットから薬を取り出した。
「杉本先生が、熱がどうしても下がらなかったら、これを使えばいいよって……」
 ふたみは、その薬の独特の形状で全てを悟ったようだ。ちょっと恥ずかしそうに顔を伏せる。しかし、しばらくして、おずおずと差し出した指で、その薬を受け取った。
「じゃ、外に出るから……」
 そう言って、勇太郎は立ち上がろうとした。しかし、ふたみの手がそれを許さない。
「ど、どうしたの?」
 勇太郎は、どぎまぎした。理由は特にないが。
「ひとりで、やるの、恐い……」
「は、はい?」
「お願いしても……いい?」
 そう言って、ますます顔を赤くするふたみ。つまり、勇太郎に座薬を入れて欲しいというのだ。
「ふ、ふたみちゃん……」
 それが、なにを意味するのか、わかっているのだろうか?
座薬とは間違いなく肛門に処方する薬であり、それをするためには、下半身全部を晒さなければならないのだ。いくら、兄と呼び慕ってくれているとはいえ、ふたりは隣人なのであり、本当のきょうだいではない。それなのに、勇太郎に座薬を入れて欲しいというふたみ。
 高鳴る動悸が、はっきりとわかる。
「体も……拭いて……」
 ふたみは続けた。もう、勇太郎の困惑は最高潮である。
(これは、看病なんだ。ふたみちゃんは、病気で、なんだか不安で、それで僕を頼ろうとしてるんだ)
 勇太郎の中をせめぎあう感情。ふたみの不安そうな顔を見ていると、それを早く解消してあげたいと思う。
 勇太郎は、ふたみの願いを聞き入れることにした。



 勇太郎が、お湯を用意するために部屋を出たあと、ふたみは自分の言葉に羞恥していた。
(あんなことを……頼んじゃうなんて)
 ふたみも年頃の乙女である。なのに、これから、恥ずかしいところを全部勇太郎に見せてしまうのだ。そう、この小説のヒロインのように。
(変態……なのかな…私…)
 小説に毒されたとは思わない。あれは、自分が意思を持って読んでいるものだから。最初から、興味があって読んでいるものだから。
 ふたみは、よろよろとベッドから起き、タンスから替えのパジャマとショーツをだした。ブラジャーは、胸が圧迫されて息苦しくなるから、やめておく。
 ベッドに戻ってから、ふと、渡された座薬を手にとって見る。
(これを、おしりに……)
 まだ触れられてもいないのに、勇太郎の指の感覚がした。


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