第19話-1
〜第19話〜
槇村と目が合った瞬間、背筋が凍りついたように動けなくなってしまった。
浩二の前ではさすがに身体を求めるまでは及ばないだろうが、
「今度もし機会があれば、次は上のお口じゃなく・・今斉藤くんのが入っているとこを
試したいな」
昨日、帰り際に言われたこの言葉が不安を募らせていた。
「そんな・・・美人な奥さんだなんて・・・あ、すいません。どうぞ。中へお入り下さい。
食事の用意は出来てますから」
それでも浩二に不審に思われないようにと必死に平静を装い中へと案内した。
客間を通り過ぎ部屋に入ると、食欲をそそる香りがより一層広がっていた。
浩二はいつもの席に座り、向かいに美香。そして上司の槇村に気を利かせ美香の右隣に座ってもらった。
冷蔵庫から器に盛り付けたおひたしを出し、温め直した味噌汁、カレイの煮付け。
最後に炊きたての白米を茶碗に盛り並べていった。
「どれも美味しそうだね。私の好きな和食を作ってくれたんだね。嬉しいよ」
そう言って、美香に優しそうな笑みを向ける槇村に対し、本当にただ食事をしに来ただけかもしれない。
きっと職場ではこんな雰囲気なんだと少し安心した。
「さぁ、部長さん。どうぞ・・・」
気持ちが楽になった美香はまず槇村のグラスにビールを注ぎ、その後に浩二のグラスへ。
「奥さんのは私が・・・」
槇村が美香のグラスへと注いだ。
「では、乾杯しようか」
3つのグラスが重なり皆そのまま口へと運びゴクゴクと喉を鳴らした。
「あぁ・・・うまい。美人の奥さんについで貰ったビールは格別だ。
料理の方も頂くよ」
「はい。お口に合うといいんですが・・・」
箸でカレイの身をほぐし食べ始めた。
「これは美味しい・・・柔らかくて、味もしっかり染みこんでいる。味噌汁も美味しいよ」
その言葉に浩二と美香は目を合わせ嬉しそうに微笑んだ。
いつもよりピッチの早い浩二が気になったが、二人のグラスが空になるとすぐに美香はビールを注いだ。
「美人で気が利く、おまけに料理も上手で、スタイルもなかなか良さそうで・・・本当に羨ましいよ。それで平山くん、夜の方はどうなんだね・・・?」
お酒も入り、槇村は突然夫婦の営みについて聞いてきた。
「ま、まぁ・・・毎日ではありませんが、それなりに・・・」
一瞬困ったような表情を見せたが、浩二は真面目に答えた。
「それなりに・・・か。こんな奥さんだったら私なら毎日でも頑張るがね・・・」
チラッと美香の方を見た槇村はまたあの妖しい目つきになっていた。
「部長さんったら・・・もう酔ってらっしゃるんですか?・・・」
なんとか話題を変えようとしたその時、槇村は向かいに浩二が座っているにも関わらず美香の太ももにゆっくりと手を伸ばし、大胆にも撫で始めた。
突然の事に美香は驚き止めさせようと槇村を見たが、太ももをさすりながら、何食わぬ顔で食事を続けている。浩二も食事に夢中で異変に気づいていない。
ビールを飲む為、一瞬顔を上げたが、膝の上まで垂れたテーブルクロスが死角を生み見えてはいなかった。
「奥さんとはご結婚されて何年になるんですか?」
「15年になるかな・・・妻とはもう何年もしとらんよ・・・」
浩二の質問に答えながら、擦っていた手は内側に移り、ゆっくりと中心に向かっていた。
何とかこれ以上責められるのは阻止しようと、足をギュッと閉じ、自分の手を乗せて力ずくで太ももから離そうとしたが、結局力及ばず逆に足を開かれ、一気にスカートの中に手を入れられパンティの上から撫でられてしまった。
「そうなんですか・・・部長、お子さんは?」
槇村の手が美香の股間にある事など想像もせず、普段上司とあまりプライベートな話をしない浩二はこの機会にと質問を続けた。
「新婚の時はあれこれと頑張ったんだがね・・・医者に私の精子が少ないから妊娠は難しいと言われたんだよ」
立ち入った事を聞いてしまい申し訳なさそうな顔をする浩二の正面で、槇村の指はパンティの上からだが割れ目を下からなぞるように動かし、クリを捉え指の腹で軽く振動させた。
「んん・・・そうだったんですか・・・んっ・・・」
何度も手首を掴んで抵抗したが敵わず、声を出して助けを求める事も出来ない美香は、せめて怪しまれないようにと会話に加わろうとしたが、クリへの刺激で小さな呻き声を出してしまった。
「美香?大丈夫か・・・?」
「う、うん。ちょっと喉が詰まったみたいで・・・んんっ・・・」
多少の異変を感じた浩二に今度はわざと咳き込み何とか誤魔化す事ができたが、
この間も槇村の指は執拗に割れ目を上下になぞり、同時にクリも責めていた。
このまま続けさせていてはいつパンティの中に指が入ってきてもおかしくない状況だった。
美香は必死にこの場を逃れる方法を考えある結論に辿り着いた。
一度トイレに行き席を離れ、戻って来た時には浩二の隣に座る。
席を変える言い訳は・・・?トイレで考えればいい。
今はそこまで考えている余裕などない。浩二が目の前にいるというのに槇村のやらしい指に不覚にも感じてしまった。それを悟られる前にとにかく一刻も早くこの場から離れる事が必要だった。
美香は意を決し槇村の手首を掴み、「ちょっとお手洗いに」そう言って
立ち上がる予定だった。
だが美香が言葉を発するより一瞬早く浩二が「すいません。ちょっとトイレに・・・」
ほんのちょっとのタイミングのズレが槇村と美香を僅かの時間、二人きりにさせてしまった。