再び-3
(?????)
さっぱり分からない。
ジルは頭をガシガシ掻いて中身を整理しようとする。
元々2人居たとして、銀の民が偵察して青の民が出てきた……と、考えても短時間で通路から居なくなるのは不可能だ。
空気は動いて無いから、通路にはもう誰も居ないのは確実。
だとすると、一番分かり易い説明は……。
(……同一人物?)
という事になる。
(うおっ?!益々分かんねぇ!!全っ然、理解出来ねぇ!!)
それが一番確率が高くても不可能だ。
しかし、さっきの青の民とカウル=レウム王が同一人物だとしたら?
(各民に成れるって事……か?)
全民の特徴を持った不思議なカウル=レウム王だ。
不可能では無いのかもしれない。
(ぅわっ?!マジ!?)
自分の考えにゾワリと鳥肌が立った。
尻尾の付け根がウズウズして仕方ない。
もし、各民を取り込む事が出来るのだとしたら……そして、各民に成れるのだとしたら……。
(発作に……怯えなくて良い?!)
例えば、青の民を取り込んで青の民に成れば、銀の民特有の発作は起きない筈。
そうすれば、スパイディとも手を切って、まともな生活を送って、それから……。
(アイツにも……ちゃんと求愛出来るって事じゃん??!)
そうだ、どうせならリョウツゥと同じ緑の民に成ろう。
そして、飛び方を覚えて彼女にも教えて、一緒に空を飛ぶのだ。
「いよっし!!」
思わずガッツポーズをとったジルは、慌てて自分の口を塞ぎ、コソコソとその場を後にした。
ーーーーーーーーーーー
その夜、ジルは久しぶりにリョウツゥの部屋を訪れた。
「よぉ」
「… ……!!?」
リョウツゥはドアを開けたままの姿勢で口をパクパクさせている。
「あのさ……飯、食わせてくんね?」
実はあの青の民の事を聞き出すのが目的……なのは建前で、本音はリョウツゥに会いたかったから。
昼間、遠くから愛でてしまったが為に、どうしても我慢出来なくなったのだ。
「ぁ、えっと、その」
(あ)
しまった、ついこっちの都合で押しかけてしまったが、リョウツゥにだって都合があるだろう。
「だよな、ワリ。お前にも予定とかあるよな」
とても残念だが、今日は我慢するしかない。