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バリ島奇譚
【SM 官能小説】

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バリ島奇譚-9

黄昏に染まった熱帯林のあいだから見える雨上がりの海から、肌にまとわりつくような湿った風
が吹いていた。海は血色に染まった空の境界線を溶かしながら、菫色の甘美な彩りを含み始め、
毒々しい光で塗り込められていく。

クトゥは今夜もユリエの部屋にやってきた。彼女が命令したとおり、首輪を嵌められたクトゥは
優しげな笑みを浮かべ足もとに跪く。クトゥは、隷属と禁欲、そして苦痛の悦びも知らないまま
にただ愛だけを囁き、ユリエの前に跪いている。黄昏の薄灯りの中で、彼はどこまでも優しげな
微笑みを絶やさず、媚びるようにユリエの開いた股間をじっと見つめていた。彼の視線が陰毛の
先端に絡み、肉の割れ目へと忍び込んでくる。

…いい子だわ。わたしの脚を舐めるのよ……

ユリエはクトゥの鼻先に足先を突き出し、爪先で彼の唇を卑猥になぞった。微かに開いた彼の唇
の中に無理やり足指をねじ入れる。怯えた彼は、ゆっくりと彼女の脚に手を添え、言われたこと
の意味を理解したように舌を突き出す。飴色の翳りのある背中を丸め、上半身をくねらすように
彼女の足指を唇のあいだに含み、頬を強ばらせながらしゃぶる。彼の唇が足指をしゃぶる音は、
蜜汁が陰部の中で戯れ始める音に似ている。

…アイシテイマス…アナタヲ、アイシテイマス…まるで呪文を唱えるようにクトゥは小さく囁き
ながら、ユリエの足指をしゃぶり続けていた。クトゥが囁く言葉にふと気だるさを覚えたユリエ
は、彼の唇から脚を振り払うと彼の頬を平手でぶった。床によろめいたクトゥが怯えたように顔
を歪める。

ユリエは椅子から立ち上がると、クトゥを見下すように彼の前に立ちはだかる。クトゥは床に仰
向けに体を横たえ、ユリエの大きく開いた太腿の股間の繁りを舐めるように見つめながら微かに
震えていた。彼女は足裏で彼の萎えかけたペニスを腹部に押しつけ捏ねるように踏みつける。ぬ
るりとした柔らかい包皮の感触が足の裏の皮膚に伝わる。そして萎縮し濡れそぼったペニスをし
ごくように足裏で転がすのだった。

この男は、きっとこれまでこういうことをされたことがないのだ。愛する女の足指をしゃぶり、
愛する女の足先でペニスを踏みつけられる悦びを味わうことが決してなかった男。クトゥのペニ
スは、まるで溶けていく軟体動物のように萎び、色素が斑になり、横縞模様の包皮がぬめったよ
うに弛んでいた。ただ、抉られたような雁首の肉縁にはねっとりとした粘液だけが付着していた。

ユリエは漆黒の縮れ毛に覆われたクトゥの肉棒を足先で強く踏みにじる。さらに萎縮した垂れ袋
を爪先でしごき始めると、びくびくと血管が脈打つように肉幹がふたたび硬さを増していく。

アアッ…ウウッ…と、クトゥは苦しげに口元を歪め白い歯を小さく噛み鳴らす。

床の上に全裸のからだを横たえたクトゥの下半身にユリエは腰を低くし、ゆっくりと跨る。跨っ
た彼女の臀部の下に彼の締まった腿肌の体温を感じる。ユリエの中はすでに十分に湿り、潤って
いる。それにほどよい微熱さえ含んでいる。ふたたび堅くなったクトゥのものに掌をあてがいな
がら少しずつ彼のものを割れ目の中に含んでいく。張った亀頭の先端が花弁をつつきながらヌル
ヌルと押し入っていく。肉襞が無意識のうちに波うち、彼のものを奥へ奥へと導こうとする。


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