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バリ島奇譚
【SM 官能小説】

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バリ島奇譚-10

…ああっ…ううっ…

のけ反ったユリエの唇から、嗚咽が洩れる。腰を緩やかに捻るユリエの乳房の先端がぷるぷると
爛れた果実のように揺れている。クトゥのペニスを一気に根元まで深く受け入れると、撥ねるよ
うな懐かしいペニスがほどよい潤みを持ちながら、何の抵抗もなくぴったりと肉襞と密着しなが
ら滑るように入っていく。烈しく軋むこともなく、ぬるりと挿入されていくその感覚に、ユリエ
は自らのひたむきな淫行を感じながらも、驕慢な疼きに充たされる。彼女の襞がフルフルと小刻
みに蠢き始め、彼の堅いペニスにねっとりとまとわりつく。ユリエは、臀部の肉の動きを微かに
感じるくらい腰を上下させる。

…アアッ…アゥゥ…アアッ…

腰を振るユリエを見つめるクトゥの頬が歪み、唇から嗚咽が洩れる。ふたりの嗚咽と息づかいが
しだいに荒くなっていく。クトゥはユリエに跨られながらも、すべてを彼女に委ねていく。ユリ
エが白い咽喉元をのけ反らせ、からだをしなやかに反らせると、彼のものは彼女の深みを貪欲に
充たしていく。

…ハァハァ…と、ユリエは自分でも信じられないくらい烈しく興奮してくる。まるで自分だけの
喘ぎ声が部屋中に響いているようだった。どこまでも欲情がたたみかけるように迸り、溢れてく
る。深々と呑み込んだ肉棒がユリエの襞を突き破り、陰嚢を押しつぶすくらい彼の股間に腰を深
く沈める。息吹いた膣の中が狂気に悶えるように、もっと烈しいペニスの貫きを求めていた。そ
そり立ったペニスの先端が今にも弾けんばかりに漲りをもつ。そのとき、ユリエの手がクトゥの
首元を強く鷲づかみにした。首筋をとらえた彼女の細い指先が彼の皮膚に喰い込んでいく。

…クッ、クルシイデス…

クトゥが息も絶え絶えに呻く。そのとき、ユリエの中が窒息するかのように肉襞が烈しい弛緩を
繰り返し、まるで膿んだ果肉が弾けるように物憂い蜜汁が溢れ出たのだった…。



ビィラの窓から、暗闇に不気味に沈み込んだバリの海が見える。クトゥが去った部屋にユリエは
ひとり残される。クトゥとの交わりがユリエに淡い性の余韻をもたらしていた。どこまでも無色
無臭の透明なクトゥとのセックスだった。飴色の肌をした彼とユリエの肌の体液が混じり、蜜汁
が溢れ、滲み入った精液の余韻がサラサラと音をたて、白々と霞んでいく。

ユリエはその余韻に浸りながらあのきのカワシマの姿を想い浮かべる。なぜか艶やかな彼の髪の
毛の中からも、ペニスからも何も匂ってくるものはなかったような気がする。あのときユリエの
もとを去って恋人のところに帰っていったカワシマの微かに開いた唇が、ユリエの中に渦巻く性
の残滓をゆるやかに掻き回すように皮肉な嘲笑を浮かべていたような気がする…。

あのとき、カワシマに吐いた言葉がふと脳裏をよぎっていく。

…あなたは私とのプレイを終えたら、何ごともなかったように日本に帰り、恋人と優しさに充ち
たセックスをするのね。欺瞞に充ちたペニスを彼女のなかに埋めながら、恋人の髪を優しく撫で、
甘い愛を囁き、優しいキスをする。笑ってしまうわね。それこそがあなたにとっては苦痛そのも
のだわ。あなたは自分でわかっているはずだわ。あなたは、自分がどんなことをされたら身も心
も安らぐのかを…




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