まことの筥-11
世話をしてきて、無垢、無邪気であった姫君の瞳が揺れる灯の中で潤みつつも滾っていて、唐崎はその狂おしい眼色に気圧された。しかし男女の営為が何者にも不可欠であると教えねばならぬから、はい、と一言だけ答えて肯った。
「なら合わせてみましょうよ。二人を」
侍従が悲声を上げたが、尻を向けられている姫君からはその顔は見えなかった。唐崎が溜息をついて竿を引っぱると、岩瀬は餓鬼のように腰と肩を使って仰向けに進む。まさか恨みの侍従の苦しみに満ちた声を聞けると思っていなかった二人の女房も、慚愧などは疾に失せて侍従を裏返そうとする。いよいよ身の危うさに慄いた侍従が身を激しく捩って抗おうとしたが、彼女たちの狂暴がこれを上回り、彼女は岩瀬の腹の上に尻を付いて座り直された。落ちていた衣裾が再び引き上げられると、膝を開いた侍従が涙に濡れた髪を頬に貼り付けて天を仰いだ。
どう見ても相入れそうにない岩瀬の醜い肉竿と、侍従の愛くるしい花口を並べ見ていた姫君が、やがて頷いた。
「いやですっ、姫様っ。姫様っ!」
無惨に開かれた脚の中心へ触れるのも悍ましい岩瀬の邪淫が近づくと、侍従はまだ激しく抗った。
「た、たまんねえっ!」
岩瀬がやおら上躯を起こし、その不躾な手で侍従の細身を掴む。「へへ……じ、侍従様……。お、俺ぁ何と果報者だぁ。おお……」
身動きできなくなった侍従の眼下で、開かされた脚の間に屹立する先端から毒じみた飛沫が飛ぶ。侍従を抑える手に降りかかって、女房たちがきゃあと悲鳴を上げた。
「はやく」
姫君の膝は茵を越え、脇息から身が前のめりになっていた。このままでは岩瀬の毒しぶきに姫君まで晒されてしまうから、唐崎は栓をするように開いた花へ口先を当てがった。
「うああっ!」
なんとはしたない。侍従の喚きを聞いた姫君がうっとりとする前で、とても手に入らないと思っていた女の、絶対にまみえることはないと思っていた園が敏しい先端に触れ、岩瀬は腰を攣らせて、荒々しく竿を侍従の中へ進めていった。
「――っ」
侍従の呻きが嬌しくなるのかと思っていた姫君は、園が醜い棍に侵されて声もなく眉を寄せる侍従の姿に寸過心が傷んだが、体の奥底まで貫かれた彼女から薄目を開いて許しを請う眼差しを向けられると、その後ろめたさはすぐに消し飛んだ。
「なんという格好をされているのでしょう、あの侍従さまが」
若い女房が苦悶に苛む侍従へ意地の悪い顔を向けて嘲り、これ、と唐崎に窘められる。しかし叱られても、自分の言葉に恥じ入って顔を伏せようとした侍従の髪を掴み、上を向かせ、
「ほれ、もっとこの女を突いて」
背後で侍従の媚肉に包まれて恍惚るあまり鈍重になっている岩瀬を鼓舞した。女房の声に我に返った岩瀬は、夢のような心地良さが果たして現のものであるのかを確かめるように、侍従を持ち上げては落ちてくる尻へ腰を突き上げて迎え始める。本院で最も美しい仕え人は、上下に体が揺れる度に喉の奥から鼻に抜けた呻きを漏らした。
人がそんな声を上げるところを初めて見た姫君は、脚を開いて重なる黒と白の肌の真ん中で、幹が果肉を裂いている場所をずっと見つめていた。
「おおっ、もう耐えられませぬ!」