〈消えない烙印〉-4
「あぁ美味しかった〜。耕二さん、料理上手くなったわね？」
耕二を労ってみせる微笑みの中に、うっすらと涙が浮かんでいた。
結局、恭子は孤独なままで居るしかなかった。
この火照った身体を慰めてくれるのは、恭子を性欲の対象としてしか見ない強姦魔達しか居ない……きっと今頃は今までに撮った映像を観せて、誰が姦すのか商談でもしているのだろう……。
『俺が片付けるから、恭子はもう寝ていいよ？』
「そう？じゃあ甘えようかな？」
取って付けたような明るい振る舞いを見せ、恭子は寝室に戻り、布団に潜った。
夕食の間にもメールが届いていたらしく、携帯電話はピカピカと緑色のライトを点滅させていた。
もう、どんなメールであっても驚く事はあるまい……恭子は受信メールを開くと、その内容を確かめた……。
(ッ…!!!)
そこには、自室と同じような作りの部屋の床に新聞紙が敷き詰められ、その上に色とりどりな衣服や下着を並べている写メが映っていた。
それは紛れもなく恭子の物……探していたゴミ袋の中身そのものだ……。
立て続けにメールは受信となり、今度はあの男が全裸に水色のブラジャーを着け、ピンク色のパンティーを勃起した肉棒に巻き付けて、自慰に耽る写メが送られてきた。
(こッ…こんな奴が……私の……)
これがあの男の本性なのだろう。
あの肛門調教を施した醜いオヤジに勝るとも劣らない変態が、自分の下着や衣服を弄び、今まさに変質的な遊戯に興じている……射精に汚れたパンティーをアップで撮り、剃り取られた陰毛を寄せ集めては口に銜え、恍惚の表情を浮かべながら衣服に頬擦りし、小便の臭いを嗅いでいる……こんな身の毛の弥立つ変態に姦され、あまつさえ自ら抱き着いて快感を貪った事実は二人だけの秘密であり、それは命ある限り互いの記憶からは消えはしないのだ……。
※奥さんの残り香に包まれてオ〇ニーしてるよ※
※セクシーなパンティーがザーメン塗れになっちゃった※
※また奥さんにギュッてされたいな※
悪趣味な言葉を添えた写メは、胸中に沸き立つ願望の発露である事は間違いない。
明日、恭子を抱こうとしている男達と、そうするよう仕向ける脅迫者達。
そして、こんな写メを送ってよこす変態が、離れていても同じ欲望を抱いている。
例え誰にも触れられていなくても、恭子は我が身の汚染が進行していると感じずにはいられなかった。
夜は深け、耕二と彩矢が寝室に入ってきても恭子は眠れず、嫌悪感を孕む哀しい興奮状態に女体を発熱させたまま、朝を迎えた……。