〈消えない烙印〉-2
『なに言ってるんだよ、今は掃除なんかいいだろ?まだ寝てなよ。俺が夕食作るからさあ?』
『パパが晩御飯作ってくれるって。ママはお布団に入ってなきゃダメだよ』
「そ…そう?じゃあお布団に入ってようかな?」
狼狽えを隠しながら暗い寝室に戻り布団に潜ると、突然に携帯電話がメールの着信を告げた。
久しぶりに弘樹から?
だが、この図ったようなタイミングは、恐らくはあの脅迫者達からだろう。
受信メールを開き、その下劣な題名を見た瞬間、やはり悪い方の予感が的中したと分かった。
こんなメールなど読みたくは無い。
しかし、その内容を確かめておかなければ、あらぬ事態へと走ってしまうかも知れない。
恭子は受信メールを開き、画面を見た……そこには、今日の恭子の姿が切り取られた画像と共に、短文が貼り付けられていた……。
※ア〇ルだけじゃ嫌※
片足を抱えられ、小便を撒き散らしながら肛姦されている写メの下には、恭子の気持ちを勝手にも代弁する台詞が書き込まれていた。
粗暴な男達に肛門虐待される恭子の悲痛な姿が、嘲りの台詞によって笑い者の“画”にされてしまっている……だが、その画面の中の恭子の顔は、強姦に恐れ戦いているというより、満足させてくれない男達への苛立ちが滲んでいるようにも見えた……眉間に皺を寄せたしかめっ面は、欲しい物を乞い求めたくても言えない“いじらしさ”に満ち、添えられた台詞が口から吐いて出ても可笑しくない表情でもある……。
(ま…まだ来るの…?)
今度は、最初に脅迫されて連れ去られ、集団によって強姦された時の画像が送られてきた。
尻を掴まれ両手を押さえ付けられ、背後から激しく突き上げられている場面の写メだ。
※メチャクチャにされると恭子は燃えちゃうの※
その画面を見た恭子は、言葉を失う程の衝撃を受けた。
汗だくの顔は、口角を上げて口を大きく開いて笑っており、見開かれた目もまた、快感に没頭して理性すら無くした狂気を孕むものだった。
……あの時、本気で恭子は抵抗していた筈だった。
なのに、この顔からは嫌悪感など一切見えず、まさに淫乱そのものの姿を曝して悶えているのだ。
※変態なお仕置きに濡れちゃうなんて※
※ア〇ルとオマ〇コ、両方でイカせて※
※包茎のチンカスもペロペロお掃除しちゃいます※
※旦那だけじゃ満足出来ない身体なんだから※
浣腸されて強制排泄させられている場面のや、変態オヤジに肛門調教されている場面。
そして今いる部屋で行われた集団強姦の場面が、矢継ぎ早に送られてきた。
その何れもが淫らに狂った表情をしており、まるで悲壮とは無縁のようである。
そして最後に送られてきたメールに、恭子は息を呑んだ。