こじらせ処女-3
だけど、そんな努力も付け焼き刃。
俺がどんなに会話を弾ませ、心を開かせたつもりでも。
あまつさえ心を込めて愛撫をしても、イカせても、彼女らを心から満足させることはできなかった。
理由は簡単、俺が女の子らの好きな男ではないからだ。
もちろん、「デビュー作の相手がずん田さんでよかった」なんて嬉しい言葉を頂くこともあるけれど。
だけど、不意に見せる女の子達の寂しい笑顔を目の当たりにすると、やはり好きな男には勝てないのだ。
小刻みに震える田所さんを見ていたら、そんな過去のことをふと思い出した。
依頼人が久しぶりの上玉だったから、ついついテンションが上がってしまったけれど、処女なら身体を大事にするべきだ。
田所さんは、AV女優じゃない。普通の女の子なのだから。
「……今回の依頼は見合わせましょうか」
静かにそう言うと、田所さんは驚いた顔をこちらに向けた。
丸くした瞳がたぬきみたいで、改めてみると汚れない女の子そのもの。
やっぱりこの娘のバージンを俺がもらうわけにはいかないだろう。
田所さんは、まさか俺から依頼を断られるとは思ってもみなかったらしく、しばし呆気に取られていたけれど、やがて我に返ったのか、勢いよく首を横に振りだした。
「こ、困ります! せっかく決心して申し込んだっていうのに!」
「失礼ですが、田所様。身体が震えてらっしゃいますし……」
「これは、武者震いで……!」
俺の言葉にいちいち反論してくるけど、唇も色を失うほど青ざめて、武者震いとは片腹痛いぞ?
「それに、田所様はまだお若いし、とても可愛らしい。今焦ってロストバージンするよりも本当に好きな人に出会った時のために、お身体を大切にしておく方がよろしいと思いますが……」
もちろん、ロストバージンの依頼を全て断るわけじゃない。
だけど、この娘はこんな形でロストバージンを迎えないで、好きな男に捧げた方が絶対いい。
仕事でたくさんの処女とヤってきた、俺の直感がそう言っていた。
諭すようにゆっくり言うと、田所さんは俯いたまま黙り込んでしまった。
……思い直したか。
田所さんとヤれないのはちょっぴり名残惜しいけど、彼女のことを思えばこれがベストだろう。
ふう、と安堵のため息を吐いたのも束の間、ふと彼女を見ると、さっきの俯いた状態のまま、肩を震わせていた。