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【その他 官能小説】

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こじらせ処女-4

「た、田所様!?」


ガタンと立ち上がったせいで、椅子が倒れそうになった。


んげ、泣いてる!?


彼女の頬に、キラキラ輝く涙が次々と流れ落ちている。


一方、俺も動揺のあまり、変な汗が急に全身から吹き出して来るのだった。


静かに泣いていた彼女だったが、俺のびっくりした声が引き金になったようで、次第に嗚咽が混ざってくる。


「わ、わかってますよぉっ! 初めては好きな人に捧げるのが一番いいってのはっ」


グリグリと目を擦りながら顔を上げた彼女の瞳は、真っ赤になってこちらを睨み付けていた。


しかも目を擦るもんだから、マスカラが取れてしまってせっかくの白い肌に滲んでいる。


そんな鬼気迫る表情で詰め寄られ、思わず俺は少し後退りしてしまった。


や、やべ……。地雷踏んだかも。


そこにはさっきまでの借りてきた猫状態の彼女はどこにもおらず、まるで出産したばかりの気性の荒くなった母猫のような田所さんがいた。


「でも、『処女は重いから嫌なんだよね』って言う人相手に、どうしてロストバージンができるんですか!」


小さい手で思いっきりテーブルを叩く田所さん。


すっかり冷めてしまったコーヒーが、カップの中で波打った。







「なるほど、そういうご事情でしたか」


――数分後、俺は煙草の煙を吐き出すように大きく息を吐いた。


あれから、田所さんは堰を切ったように自分の抱えていた悩みをぶちまけた。


泣くってことは、一種のストレス解消だと聞いたことがある。


おそらく田所さんは、きっとこういった性の悩みをその清楚な外見故に、誰にも相談できなかったのではないか。


泣きながら思いの丈をぶつけてきた彼女。


彼女はバージンであることにコンプレックスを強く持っている、いわゆるこじらせ処女であった。




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