清七の嫉妬-1
昨夜のオナニーは久々だったせいか信代はぐっすり眠っていて、目を覚ますともう朝の6時を過ぎていた。
急いで台所に出て朝食の支度していると清七が二階から降りてきた。
「おはよう、女将さん今朝は寝すぎましたか・・」
「ええ、うっかり寝すぎてしまったわ」
信代は化粧しない顔を見られる恥らいもあったが急いでいた。
清七はスポーツ新聞を取ると開幕したばかりのプロ野球の紙面を広げタバコに火をつけながら尋ねた。
「夕べの男、今日から仕事ですかい」
「そうよ、なんでも近くのゴム製品作る会社らしんですけど・・北村ゴムだったかしら」
朝食の支度を済ませると信代は部屋に戻り、鏡台に座って急いで化粧をして食卓に戻った。
7時には昨夜の男が姿を現した。
「おはようございます」
低い声で挨拶をすると遠慮きみにイスを引いて腰掛けた。
「おはようございます、昨夜はよく休まれました?」
「はい、有難うございます」
(やはり いい男だわ)
「お汁ここに置きますよ」
信代は男の前に差し出すとしばらく男に見とれていた。
そんな様子は清七にも感じ取れた。
(チェ、女将のやつ・・・務所帰りの男ばかり気を使いやがって)
男は食事を済ませると食器を台所に運んだ
「いいのよ、そこに置いておいて下されば」
男の礼儀正しさも仕草も今までにない下宿人だと信代は思った。
二階に上がって暫らくすると作業着に着替えて降りてきた。
「それじゃあ行ってきます」
新調した運動靴を履いて男は出て行った。
「いってらっしゃい」
見送る信代はまるで夫を見送るように笑顔で送り出した。
腰にエプロンを着け、はちきれそうな尻を包んだ紺色のタイツスカート、白いブラウスに浮かぶ黒のブラジャー、信代の後姿が清七には堪らなく妖艶に見えた。
「女将さん、映画でも一緒に行きませんか」
清七が突然問い掛けた
「この間のHな映画・・・昼間から・・いやだ恥ずかしいわ」
信代は照れ笑いで応えた。
「ハハハ、まさか 夜ですよ」
「遅くなの・・・」
「土曜日です、オールナイト だったらいいでしょう」
「恥ずかしいな・・男ばかりでしょう」
「いやいや最近は女性も来てますよ」
「そう・・じゃあお付き合いしましょうか」
清七は冗談半分のつもりが信代のその言葉に驚いた。
(女将も隅に置けねえや、意外と好きモノかもしれねえや)
それから暫らくした土曜である
清七は昼食を済ませると信代に声をかけた
「映画いいですかい」
「そうね、来週は学生さんが来るから今夜だったらいいわ」
信代は快く返事した。
「そうですかい、今夜は谷ナオミの縄モノです」
「何なの縄モノって」
「いいですよ、観てのお楽しみです」
清七はニッタリして新聞の映画の広告に見入ってた。
夜、下宿人の夕食を終わらせると信代は手早く食器を洗い台所を片付けた。
清七も8時に合わせて下に降りてきた。
「少し待ってて、化粧直してくるから」
「そんなに綺麗にしなくていいですよ、男に誘われますよ」
清七は少し複雑な気持ちで言った。
それは成人映画に来る男達の中には女に飢えた狼のような者もいる、信代のような女性を見ればいやらしい言葉をかけたり、手を出す者も出てこないとも限らないのだ。
暫らくすると信代は厚めの化粧と香水を香らせて出てきた。
(おお・・綺麗だ)
きめの細かい白い肌、大きな瞳 セクシーな唇 グラマーな肉体
そんな女とあの映画館へ行くのだ、清七は少し不安を感じた。
「さあ行きましょ、自転車の荷台に乗ってもいいのかしら、私のお尻大きいから」
「はい いいですよ」
清七は自転車の荷台に信代を乗せるとフラフラとしながら必死にぺタルを漕いだ。
暫らく暗がりの道を行くとネオン街に出る、少し先が朝日劇場である。
劇場の看板には縄で縛られた裸の女優が大きく描かれている、信代は辺りの目を避けるように急いで入り口に入った。
切符売り場の老いた婦人が物珍しそうに信代を見た。
「おばちゃん俺が払いますから」
清七は2千円を払って切符を受け取ると暗闇の中に入った。
慣れない目は足元の暗さに戸惑った。
「ここにしますか」
とりあえず後の方の空いている座席に座った。
数人の男達が信代を見るなりいやらしい視線を送っている。
スクリーンに映る谷ナオミの縛り上げられた裸体 縄が乳房に食い込んで痛々しい、男の好奇心の眼差し、初めて見るポルノ映画に信代は目を見張った。
(まあ凄い・・・あのいやらしい男の目つき・・・でも何だか変な気分だわ)
映画は進んで最後の濡れ場に差しかかった。
いつの間にか気が付くと信代の脇に中年の男が座っていた、何やら股間をもそもそしながらスクリーンを観ている。
すると脇から男の手が延びてきた。
信代の手首をそーと掴むと股間にその手を誘導した。
(何するの・・・)
男の剥きだしたペニスに手が添えられた
耳元で男のささやきが耳をくすぐった。
「奥さん、お願いします」
(ェッ・・・)
熱く勃起した肉感が信代の手に感じた
(そんな恥ずかしいこと・・・)
男は信代の手首を掴んでしごく動作を促した
(恥ずかしいわ)
信代は仕方なくペニスを手のひらで包んでしごき始めた
男は目を閉じて心地よいオナニーの快感にしたってゆく、銀幕の裏のスピーカーから聴こえる女の喘ぎ、濡れ場の頂点に差し掛かった時である、隣の男の微かな唸り声を上げた。
「ううう・・」
信代の手に熱いモノを感じた。
(まあ・・・こんな所に出したりして)
青臭い匂いと共に吐き出された精液がべっとりと手のひらに付いた。
信代はハンカチでそーと包み込んで手に握りしめた。
男はニンマリとしながら手を信代の白い腿に忍ばせてくるのだった。