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堕ちていく人妻
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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訪問-2

そこには披露宴に出席した会社の同僚や上司が写っていた。
いずれ役に立つかもしれないと気の進まない浩二に無理やり名前と役職を聞き出し
ひとりひとりわかるように印刷してもらっていた。
「えっと・・・人事部長さんは・・・山下さん」

名前を聞きそびれてしまい、かけ直そうか迷ったが仕事中にわざわざその為だけに電話をするのも気が引けてアルバムがあるのを思い出した。

年は40代後半で人の良さそうな優しい目をしていた。
とても強引に部下の家に押しかけそうな人には見えなかったが、とにかく来てもらうからには満足してもらおうと、年齢や人相を元にどんな料理が好きそうか勝手に想像を膨らませていた。

頭の中である程度献立がまとまると3人分の食材を買いにいつものスーパーへ出かけた。
買い物を済ませると手際よく下ごしらえをし、それが終わると今度は掃除を始めた。

このところ斉藤との密会が増え、掃除も目に見えるところしかやっていなかった。
今日は少し散らかっていた所も整理し、部屋の隅々まで掃除機をかけ、念のため隣にある客間も掃除しいつでも敷けるようにと襖から布団も出しておいた。

さらに洗濯物を取り込み、たたんだ後、タンスにしまっていった。
「ふぅ・・・こんなに一気に動いたの久しぶりかも・・・」

斉藤と再会するまではほとんど毎日がこの繰り返しだった。
それが主婦として当然の事で美香自身苦にしていなかったのも事実だ。

そんな平凡な生活を送れる日々が何よりの幸せだと確信していた。
だが今は平凡とはかけ離れた、斉藤が与える刺激がなくてはならないものになっていた。
愛する夫、浩二を裏切っているという罪悪感や背徳感も今となっては精神的な刺激に
なっている。

「ダメダメ。今日は浩二の株を上げる為にも腕を振るわなきゃ・・・」
少し休憩したあと、料理に取り掛かった。

カレイの煮つけ、ほうれん草のおひたし、あさりの味噌汁。
食欲をそそる香りを立てながら、次々と料理が出来上がっていく。
すると電話で浩二からあと10分程で着くと連絡が入り、一旦火を止めた。

玄関の電気、スリッパの用意。ちゃんと出来ているか最終確認を終え、待っていると急に緊張感に襲われた。
「ふぅぅ・・・大丈夫、大丈夫」
慣れない夫の上司の訪問に緊張をほぐそうと息を吐き、そう自分に言い聞かせた。

ほどなくしてインターフォンが鳴り、玄関へと急いだ。
鍵を開けるとまず浩二が姿を現し「おかえりなさい」と声を掛けた。
と、同時に後ろの人影が中に入って来る前に深々と頭を下げた。
「あの・・・主人がいつも、お世話になっております。妻の美香と申します。
今日はどうぞゆっくりしていって下さいませ・・・」

あまりの緊張でたどたどしい言葉遣いに浩二が笑いそうになったが、それよりも先に
部長が笑い出し言葉を発した。
「はははっ・・・よく出来た奥さんだ。私の方こそ急に押しかけてすまないね。
そんなに緊張しないでいいですから・・・ささ、顔も上げて下さい・・・」

相手を見る前に頭を下げたため顔は見てないが、明らかに聞き覚えのある声だった。
それも、ごく最近耳にしている。
不吉な予感がさっきまでとは比べ物にならない緊張に変わり、鼓動は高鳴り、すぐに顔を上げることが出来なかった。

(もしかして・・・こんな事って・・・)
あの人でなければいいのに。そう願いながら美香はようやく恐る恐る顔を上げていった。
だがその願いも空しく、目の前に居たのは山下ではなく、あの槇村だった。

あまりの事態に理解できず一瞬固まり、引きつったようなその笑顔は槇村を喜ばせた。
今日、この時まで身分を明かさないと斉藤と決めていたのだった。
思惑通りの反応に気をよくした槇村はさらに話を続けた。

「いやぁ、想像以上に綺麗な奥さんで驚いたよ。こんな奥さんの手料理が毎日食べられる平山くんが羨ましいよ」
美香の胸中など知る由もない浩二は槇村のお世辞に嬉しそうにしている。

「半年前に人事部に異動になった槇村さんだ。俺達の結婚式の時は前の部長だったから、
美香は初対面だよな。それでどうしてもって言われて・・・」
そんな浩二の説明など、もう耳に入らなかった。目の前にいる槇村がただ食事をしに来たわけではない事は明らかだった。
「平山くんの奥さんは美人だって社内でも噂でね。それで無理言って一度会って見たかったんだよ。優秀な社員を支える美人な奥さんを・・・ね」
白々しく話を進める槇村だったが、最後に美香へ視線を移した目は鋭く、これが偶然ではない事を物語っていた。

つづく。


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