第二話-6
白い乳房を揉みしだく少年の瞳(め)は虚ろで、今一つどこを見ているのか解らない。明らかに様子が違っていたが佐伯は構わなかった。硝子玉のような瞳の奥に、普段の少年からは考えられない異質な暗さを感じるのだ。心の隅に呵責がない訳ではない。しかし、良心の声に耐えながらの性交は、常にない興奮と喜びを彼女にもたらした。
佐伯はなおも動き続ける。より感じる場所へ牡を擦(なす)りつけようと幾度も腰をくねらせた。こすれる度に抑えきれない愉悦が唇から漏れる。
扉の前を、大声で笑いながら生徒達が通り過ぎるのが聞こえ、身体がぎくりと揺れた。はずみで中のモノを強く締めつけ、余計な快感を生み出す。少年の首元に自分の口を押し付け、零れそうになる声を必死でこらえた。もし誰かに見られたらという緊張と不安は、さらに佐伯の欲情を煽り立てる。
「ぁあっ……、駄目よ……まだ……」
「っ……」
自分の中にある起立がさらに硬く膨れ上がるのが分かり、佐伯は一旦動きを止めた。経験が無いに等しい少年ではそう長くは持たないだろう。
荒れた息を繰り返しながら、少年が上体を後ろへ倒し横たわる。頭が机の縁ぎりぎりで今にも落ちそうだ。表情は未だ空ろなままで快楽に溺れている気配はないが、佐伯の中にある牡は変わらず存在を誇示している。
少年の息が多少落ち着いた頃、彼女は再び動きだした。彼がイきそうになる度に動きを緩めたり止めたりを繰り返し、相手をコントロールする。未熟な若い雄を好い様に操るのは気分が良かった。
もっと強い刺激が欲しくなり、佐伯は自分の淫芯に指を這わせる。
「んふ……、くぅ……ん、ん……」
声を上げないように唇をきつく閉じ、腰の動きに合わせて赤く充血して膨らんでいる肉芽をぬるぬると弄り回した。けれどあまり気持ちよくなって、膣内の起立を絞り上げてしまうのは避けたい。少年が暴発しないように気をつけながら、己をさらに高みへ押し上げる。
「……はっ――……っ、はぁ――っ、……」
孝顕が大きく息を吐き出した。酸欠のように何度も口を開閉しては荒い呼吸を繰り返す。追い詰められてもなお、焦点の定まらない瞳を虚空に向け、大人しくされるがままになっていた。
(流石にもう無理かしら……)
ふと笑うと佐伯は腰の動きを強くした。激しく腰をうねらせ一際強く自分の中にある牡を締めつける。
「! ふっ……、んあっ……!」
喘ぎながら孝顕が勢いよく爆ぜた。
「ああっ……!」
少し遅れて佐伯も上り詰める。
自分の中に注がれる白濁が少年を穢した証のように感じられ、暗い悦びが生まれる。罪の意識を封印し、佐伯は目の前にある背徳に酔い痴れた──。
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