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【箱庭の住人達〜荊の苑〜】
【学園物 官能小説】

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第二話-5


 ようやく大人しくなった少年の身体を、佐伯は再び撫で始めた。
 背中から始まり腰へ降りた手は、柔らかさを残す尻肉を軽く掴んでは揉んでいく。上半身を孝顕の背中へ預け両腕を前へと巡らせると、ジッパーを辿るように、華奢な手の平で股間を上下に撫で擦(さす)った。時折、手を奥へ差し入れては性器全体を刺激するように股下から撫で上げる。
 制服越しに与えられる鈍い刺激に、孝顕の唇から苦痛に耐えるような吐息が漏れた。
「っふ……。ん、ん……」
 密着した身体に、少年の背中の筋肉がたわんでは腰を蠢かせるのが伝わり、佐伯は内心でほくそ笑む。湧きあがる黒い情動のまま少年を苛(さいな)み続けた。

 君だけが綺麗なままなんて赦(ゆる)せない。

 私と一緒に汚れてしまえばいい。

 ベルトを外しワイシャツの裾を引き出すと、ズボンの前をくつろげ下着の上から少年に触れた。先端と思しき周辺を指先でくすぐれば、ふっと強めに息を吐き出した少年の腰が分かりやすく跳ねる。
「ふふふふ……」
 佐伯の唇が楽し気に弧を描いた。
 両手をトランクスの中に滑り込ませ直接牡を包み込むと、僅かにかぶっている皮をむき下ろす。鈴口や亀頭のまわりは先走りの液で既にかなりぬるついていた。そのぬめりを利用して棹の筋に指を当て緩く擦り、袋にも指を這わせ優しく揉み込む。
「っ――、っはっ……、あ……」
 佐伯から強制的に与えられる刺激に、孝顕の唇から抑えきれない吐息が漏れた。嫌なのに反応する身体が酷く惨めな気持ちにさせる。本格的に血液が一箇所に集り、芯が通ったように完全に硬くなるのを感じると、そこから逃げるために気持ちを別の場所に向け始めた。
 視線を机の木目から横へとずらす。視界に入ったスチール棚は、上から下まで青色のファイルと進学に関する資料や書籍で埋まっていた。
 本は、それがどんな物であれ嫌いじゃない。知識や娯楽、未知への興味を心行くまで満たしてくれる。
 現在の自宅である大賀美(おおがみ)家に引き取られて間もない頃は、学院から帰るといつも書斎に入り浸っていた。わざわざ合鍵を作ってもらって、好きにしろと言われて嬉しかった。怖いと思っていたあの人に受け入れられたような気がした――。
 記憶の隅に何かがちらつき、少年の思考が混沌とし始めた。瞳からは急速に生気が薄れ、暗く濁っていく。鼻先に紙特有の埃っぽさを感じ、冷たい指を思い出して身体が震えた。心の中が冷え凝(こご)っていく。
 机に伏せられていた身体を起こされ、逆向きに変えられた。追い立てられて机に身体を引き上げると、ストッキングと下着を脱ぎ去った佐伯が、孝顕の身体を跨いで上がってきた。二人分の重さを受けた幅広の机がきしむ。
 彼女の細い指先が顔をなぞり、首筋を辿って鎖骨へと降りていった。首元をくすぐりながら唇が重ねられる。もう片方の手は執拗に少年の股間をまさぐり、硬く反り返る牡を扱き続けた。
「ん……、ぁ……はっ……」
 身体に伝わる刺激が感情とは関係なく脳に届くのが、孝顕には不思議だった。口から意図せず零れる吐息も、まるで他人(ひと)事のように遠く感じる。
 少しすると手が離れ、次は暖かくぬめった肉に己の牡が包まれていく。
「……っ、ぁあっ……!」
 腰から這い上がる刺激が強くなり孝顕が苦し気に喘いだ。
 佐伯はスーツのジャケットを手早く脱ぎ捨ててブラウスの胸元を開け、ブラジャーのフロントホックを外す。
 少年の両手を掴みあげ、柔らかな双丘に指を添えさせた。重ねた自分の手で、少年の手ごと乳房を揉み込んでいく。下から上へ、内から外へ、円を描きながら強弱をつけやって見せた。手を離しても、少年の手は止まる気配がない事を確認し、彼女は満足げに口を歪める。腰をゆるゆると揺らし自身の快楽を追い始めた。


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